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【取材レポートVol.16】横浜市立幸ケ谷小学校の総合学習での挑戦が、まちの未来の豊かさを創るかけはしに@神奈川区

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【取材レポートVol.16】横浜市立幸ケ谷小学校の総合学習での挑戦が、まちの未来の豊かさを創るかけはしに@神奈川区

 「自分たちの住むまちを、もっと良くしたい」。そんな純粋な思いを胸に、地域の課題にまっすぐ向き合う小学生たちがいます。

 横浜市立幸ケ谷小学校の5年生が総合的な学習の時間で取り組むのは、神奈川区の「地域福祉保健計画(通称:ちふく)」を読み解き、自分たちなりのアクションプランを創造する、とても実践的なプロジェクト。子どもたちの挑戦から、私たちのまちの未来が見えてくるかもしれません。

きっかけは、子どもたちの素朴な「疑問」

 プロジェクトのスタートは、「地域の問題を僕たちで解決できないか」という大きなテーマ。しかし、子どもたちはすぐに、ある疑問にたどり着きます。「そもそも、僕たちのまちにはどんな課題があるんだろう?」。

 この問いに、担任の稲葉先生がヒントとして見せたのが、神奈川区の「かながわ支え愛プラン(地域福祉保健計画)」でした。子どもたちは、少し難しいこのプランを一生懸命読み解き、「世代間のつながりが少なくなっている」「一人暮らしのお年寄りが増えている」といった、今まで知らなかったまちの姿を発見します。そして、もっと知りたいという探究心から、区役所の職員に直接話を聞くことを決めました。

区職員による出前教室で深まる学び

 子どもたちのまっすぐな問いかけに応え、神奈川区役所の職員が講師として学校を訪れる「出前教室」が実現しました。

授業では、「なぜ地域福祉保健計画を作るのか」というところから始まり、地域の人口や住民アンケートの結果などが、具体的なデータとともに分かりやすく紹介されます。

 区役所の担当者から直接話を聞くという貴重な経験は、子どもたちの視野を大きく広げました。また、地元の皆さんとともに作った地区ごとの計画が目指す「世代間のつながりの大切さ」に深く共感。「自分たちの手で、世代間のつながりを生み出せないだろうか」。この思いが、プロジェクトを大きく動かす原動力となっていきます。

「モルック」による世代間交流へ

 「子どもからお年寄りまで、誰もが一緒に楽しめることって何だろう?」。みんなでアイデアを出し合い、たどり着いた答えが、フィンランド発祥のスポーツ「モルック」でした。簡単なルールで、体力に自信がなくても楽しめるモルックは、世代を超えた交流イベントにぴったりです。

「モルックを通じて、このまちに新しいつながりを生み出す!」

 この想いを胸に、子どもたちの探究活動は本格的にスタート。高価な用具も、知恵を絞ってペットボトルを使って手作りするなど、その主体的な姿には驚かされます。

教育的意義と地域への波及効果

 この取り組みについて、谷石宏之校長は学校が地域と連携し、子どもたちが地域の活動に参加することの重要性を次のように語ります。

稲葉先生(左)と谷石校長

なぜ、子どもたちが「地域のために何ができるか」を考える必要があるのか

 学校での学びは、どうしても一般的な知識や概念的な話になりがちです。しかし、地域を題材にした学びは、子どもたちにとって「自分ごと」として捉えやすく、学習意欲を高める効果があります。 「あの場所のことだ」「あの人に話を聞いてみよう」と具体的なイメージが湧くことで、子どもたちの行動はより主体的になります。

 また、行政などが示す地域の課題に対し、「なぜそれを行うのか」という背景や、具体的な場所、人を意識することで、子どもたちの理想論は「実行可能なアクション」へと変わっていきます「誰かのために行動し、それが受け入れられた」という経験は、子どもたちの自己肯定感を育み、社会参画への第一歩となるのです。

学校が「地域とつながり続ける」ことの必要性

 地域は、子どもたちの考えや行動を具体的に受け止めてくれる貴重な存在です。小学生の段階では、まず身近な地域で「行動し、受け止められる」という経験を積む。そして、成長とともに視野を広げ、中学生、高校生、そして大人になっても、それぞれの立場で地域と関わり続けていく。

 この「つながり続ける」というサイクルが、子どもたちの成長の証であり、ひいては地域全体の力を未来へとつないでいくことになります。学校は、そのための基礎を築き、子どもたちが最初の一歩を踏み出すきっかけを提供する重要な役割を担っていると考えています。

  • 子どもたちの挑戦は、まだ始まったばかり。まずは校内でのイベントで経験を積み、夏休み明けにはいよいよ地域へと活動の場を広げていく計画です。将来的には、地域の人々や施設と連携し、多世代が参加する「モルック大会」を開くという大きな夢も描いています。

 一つのクラスの授業から生まれたこの活動は、子どもたちを成長させるだけでなく、私たち地域に住む大人にとっても、まちとの関わり方を改めて考えるきっかけを与えてくれているのかもしれません。

「かながわ支え愛プラン」のページへ

住所

神奈川県横浜市神奈川区

公開日:2025-07-28

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