NHKで現在放送中の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。俳優・小栗旬さん演じる北条義時を主人公にした物語だ。
同ドラマでストーリー上、重要な役どころとなる源頼朝(大泉洋さん)、弟・義経(菅田将暉さん)にゆかりのある地が麻生区内にある。
「鍋ころがし」
「二枚橋」(高石)を渡った義経一行が、現在の百合丘から、弘法の松を通ったという伝承がある。その百合丘にあるのが「鍋ころがし」という名のついた場所だ。
現在、王禅寺見晴らし公園(王禅寺西2の6の9)になっているが、当時は人が通れるかどうかの尾根道だった。この道を通る際、大男だった弁慶が乗っていた馬が足を滑らせて転びそうになり、積んでいた鍋のひもが切れて、断崖に落ちていったことから「鍋ころがし」と名付けられたという。そのエピソードが記された看板が、同公園の看板の隣に設置されている。
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鍋が転がって行った崖は今も急な崖に
「九郎明(くろうみょう)神社」
その後、義経一行は古沢に立ち寄り、一夜を過ごしたとされる。その古沢にあるのが「九郎明(くろうみょう)神社」(古沢497)だ。「九郎」は、義経の別名。この地で一夜を過ごした義経たちは、地元民から歓待を受け、その謝意のために地元民に小刀と鉄扇を贈ったとされる。
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山中にひっそりとたたずむ本殿
義経亡きあと、同神社に地元民が祭祀した。神社関係者によると「昔、小刀や鉄扇を納めていたが盗まれたそう。資料が残っていたようだが火事でなくなり、口伝されてきた」と伝承について語る。
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境内にある由来の書かれた立て札
「ドラマで関心を持ってくれると嬉しい。マナー良く見に来てくれれば」と話す。
幻の城が麻生に
義経には、弁慶の他にも「四天王」と呼ばれる臣下がいた。その一人が、亀井六郎(重清)だ(諸説あり)。この亀井六郎が上麻生の現在の月読神社のそばに「亀井城」を築城したとされる伝承もある。
枡形城址(多摩区・生田緑地内)の案内板に亀井城の名前があり、月読神社の由緒書きにも「亀井城の卯の方に社殿を創建」とあるものの、ここに城があったかどうかの資料は残っていないという。
「修廣寺」
義経にまつわる伝承だけでなく、頼朝にまつわるものも。片平にある「修廣寺」は、1400年代初めに創建された禅寺。山号の「夏蒐(なつかり)山」は源頼朝がこの辺りで夏に巻狩をしたことから名付けられたという。
これらの場面がドラマに描かれるかは定かではないが、麻生区にも立ち寄っていたことに思いを馳せながら視聴するのも一興だろう