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iPadをフル活用! 小学生がSDGsについて考え、行動<茅ヶ崎市立東海岸小学校の取り組み>

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iPadをフル活用! 小学生がSDGsについて考え、行動<茅ヶ崎市立東海岸小学校の取り組み>

持続可能でより良い世界を目指すSDGs。2030年を目標としており、これから大人になろうとしている小学生にとっても他人事ではないはず。茅ヶ崎市の教育の場でSDGsがどのように取り入れられているか、昨年配備されたiPadをフルに活用しながらSDGsに取り組んだ茅ヶ崎市立東海岸小学校の取り組みを追ってみました。

世界を知るきっかけとしてのSDGs

「SDGsについて知ることは世界の現状を知ることにつながる!」東海岸小学校5年2組担任の大國先生はこんな想いを持って、総合学習の授業でSDGsに取り組むこととしました。一方で、「SDGsは世界規模での目標なので、他人事になりがちで、自分事として意識しにくいのでは」との懸念もあったとのことでした。SDGsは2030年までの目標であり、今、行動することが大切です。授業ではSDGsについて知ることをきっかけに自分事として行動することをゴールとして取り組まれました。

iPadで調べる

SDGsは17の目標があり、内容も貧困から環境、平和へと多岐に渡り、全てを理解するだけでも一苦労です。5年2組では35人の児童一人一人が17の目標の中から自分が興味のあるテーマを選び、それを詳しく調べることから始まりました。
iPadを用いてインターネットで調べることは既に授業で取り組んでいましたが、実際に調べてみると「なかなかいい情報にたどりつけなかった」、「時間がかかった」など調べるのに苦労したようです。ただ、「海に流れ着いたプラスチックゴミが、紫外線を浴びると粉々になってしまってマイクロプラスチックになってしまうんだよ。」と記者に教えてくれる児童もいて、子どもが自分自身で苦労して獲得した知識は、人に教えたい、共有したいという想いにつながりやすいのかもしれません。

ipadを使ってSDGsを調べている様子

クラス内でプレゼン大会

児童一人一人は17の目標のうちの一つを調べましたが、17の目標全体を理解するために、調べた内容とそれをもとに自分たちでできることをプレゼン資料としてまとめ、プレゼン大会としてクラスのみんなの前で発表しました。20枚を超えるスライドを作り上げた児童も複数人いたそうです。資料作成で苦労した点を聞くと、「文字の大きさや色を意識した」、「情報が多くなりすぎないよう、情報の量を意識した」、「画像やグラフを入れるのに苦労した」などの声が聞かれるとともに、「大変というよりも、工夫して資料を作るのが楽しかった。」という声もあり、iPadを巧みに使って相手に伝わりやすい資料を、楽しく作成することができたようです。

調べた成果、練習した成果をプレゼン

5年2組では資料を作成するだけではなく、その資料を用いて相手に伝えるプレゼン技術にも力を入れて取り組んでいます。二人一組になって、一人がプレゼンし、一人がそのチェックをし、よりよいプレゼンになるようアドバイスをしました。発表するときの目線や、声の大きさなどのアドバイスもあったそうです。iPadを使ってのプレゼンで最初は緊張したと思いますが、練習を繰り返したことによって自信を持ってクラスでのプレゼン大会に臨めたのではないでしょうか。

世界の目標から自分たちの目標へ

SDGsな世界を目指すために、自分たちで取り組めることは何かをみんなで考えました。その時にもiPadを活用します。一人一人がSDGsのために自分たちができる行動を3つ、順位をつけてiPadに入力し、他の人がつけた順位をみんなで見ながら、5年2組として取り組むことを絞り込みました。「それぞれが重視している活動がiPadを用いて可視化できたため、異なる意見を持つ人に対してどのように説得していくかを意識し、みんなの意見を尊重しながらクラスの目標を絞り込んでいくための議論が行われていた。」と大國先生は仰っています。

その結果、5年2組として、ビーチクリーン、呼びかけ活動、募金活動の3つに取り組むことが決まり、それぞれビーチカンパニー、コールカンパニー、募金カンパニーとグループ化し、どのように活動していくか、それぞれ企画書を作成した上で、具体の行動に移していきました。

それぞれのカンパニーの企画を校長先生の前でもプレゼン

ビーチカンパニー

ビーチカンパニーは「きれいな海・生き物を守りたい!」「『来て良かった』と思ってもらえる海にしたい」との想いで行動しました。SDGsの目標14、海辺のまちの茅ヶ崎にはとても大切な活動ですね。

まずは現場を知ろうとの想いで事前調査を提案し、クラス全員で事前調査に行きました。調査場所は、東海岸小学校の目と鼻の先のヘッドランド周辺。現場を見てみた結果、「外国のゴミが流れついていた」、「マイクロプラスチックは量が多く、小さいため集めることが難しい」ということが分かったそうです。その後、かながわ海岸美化財団の方に湘南の海についてレクチャーを受け、「マイクロプラスチックが大きな課題となっている」こと、「海にあるゴミの7割は陸にあったものが流れ着いたもの」ということを知りました。

岩の間に大物が潜んでいました

これまでの事前調査や美化財団の方の話を踏まえ、マイクロプラスチックを集めるグループ、可燃ごみを集めるグループ、不燃ごみを集めるグループに分かれて、5年生全員でビーチクリーンを行いました。「Tバーの岩の隙間にたくさん落ちていた」、「マイクロプラスチックを探しに行ったが、大きなゴミが多かった」そうで、マイクロプラスチックも回収できましたが、当初の想定とは違ってマイクロプラスチックになってしまう前の大物も岩の間からたくさん回収できました。

マイクロプラスチックだけではなく、大きなゴミもこんなに回収できました

これらの活動を東海岸小学校だけではなく、この地域に住むみんなで取り組めるようポスターを作成し、周辺の店舗に掲示させてもらっています。ポスターは「文字が多いと読んでもらえないので、文字を少なくした」「絵を入れて、小さな子でも分かりやすくした」そうです。

ビーチカンパニーのメンバー

コールコンパニー

コールカンパニーではマイバッグ、マイボトルの呼びかけを、小学校内と学校外の両方に行いました。「プラスチックが原因で苦しんでいる生き物がいることがわかった。」との想いがきっかけだったそうです。SDGsの目標12、13、14、17の活動ですね。

小学校内への呼びかけでは、まずはポスターを作成し校内の掲示板に貼ったり、お昼の時間に放送を流したりしました。それでも十分には伝わらないのではないかと考えたコールカンパニーでは、iPadで「SDGsについて見てわかる10分動画」を作成し、校内のみんなに見てもらいました。と言っても、校内のどこかのディスプレイに動画を流すということではなく、東海岸小学校の児童全員がアクセスできるクラウド上に動画をアップして、学校のみんながそれぞれのiPadで見られるようにしました。今どきの方法でびっくりです!

店舗や公共施設に電話でお願いをしました

小学校外にも呼び掛けたいという想いで、周辺の店舗や公共施設に自分たちで電話し、ポスター掲示のお願いをしました。電話は、簡潔に説明できるよう、電話のための台本を作成し、何度も練習を重ねてから電話をしたとのことです。その結果、うみかぜテラス、たまや南口店、南地区児童クラブ、東海岸児童クラブ(マリンキッズクラブ)の4か所に掲示できました。

うみかぜテラスにも貼りました!

コールカンパニーのメンバー

募金カンパニー

SDGsを調べる中で、日本では感じることがなかったが、世界では教育、貧困、飢餓で困っている子どもが沢山いることを児童たちは知り、また友達のプレゼンを聞きながら、自分たちは募金活動ができることに気づきました。SDGsの目標1、2、4の活動です。

当初は、「募金をユニセフに寄附して世界中の困っている子どもたちを救いたい」と思っていたのですが、議論を重ねていく中で「まずは身近なところに目を向けた方がよい」という意見にまとまり、身近なところで寄附先を探してみたところ「茅ヶ崎こども未来応援基金」を見つけ、そこに寄附することになりました。

たまや 幸町店にも置かせてもらいました

多くの人に募金してもらえるよう学校周辺の店舗に置いてもらえるか相談をしました。お店に相談をする中では「募金箱をずっと見ていられるわけではないので難しい」と断られた店舗もありましたが、川上書店 ラスカ店、たまや 幸町店、たまや 南口店、クリエイトS・D 茅ヶ崎雄三通り店の4店舗に、募金箱と一緒にポスターも置かせてもらうことができました。

ポスターも作成し貼ってもらいました

募金箱を設置していると、友達から「募金したよ」「募金箱を設置しているのを見たよ」等の声があり、多くの人が集まるお店に設置する効果の高さを感じたそうです。約2か月置かせてもらったところ、52,327円もの募金が集まりました。児童からは「思った以上に募金が集まった」という声や、「金額もさることながら、募金箱を置くことによって多くの人に知ってもらえた」という声がありました。

募金カンパニーのメンバー

こども未来応援基金への寄附と記者への発表

2月21日に5年2組の有志は市役所を訪れ、新聞やテレビの記者の前でこれまでの活動をプレゼンした後、募金カンパニーが集めた募金を市に寄附しました。プレゼンはこれまでの練習の積み重ねの成果で、とても堂々として、分かりやすい大人顔負けの発表でした。発表の最後には「多くの人にSDGsについて知ってもらうために、是非記事にしてください」との力強いメッセージがあり、翌日以降の複数の新聞で記事になっていました。

本物の記者さんの前でプレゼン

募金を子ども未来応援基金に寄附しました

5年2組の活動はSDGsを自分事としてとらえ、行動するという縦糸に、昨年一人に一台配備されたiPadを効果的に活用する、児童のプレゼン能力を高めるといった横糸が巧みに織り込まれた総合的な活動となっていました。「iPadを使いながら楽しくできた」という児童の声にあるように、児童の満足度の高い活動になったと想像されます。

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住所

神奈川県茅ヶ崎市

公開日:2022-03-25

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