進学や就職など春は新たな生活が始まる季節。期待やワクワクの一方で環境の変化によるストレスも多いもの。そんな気持ちとどう向き合えばいいのか―。茅ヶ崎市内で、トップアスリートから小学生、高齢者まで「心」に着目したトレーニングプログラムを実践している深井諭さんにメッセージをもらいました。
「心の防災訓練を」
誰にでもある苛立ちや不安、焦りを感情の「災害」と考えて、それに備えた「防災訓練」をすることで、いざという時に自分らしくふるまえるようにする、というのが私のトレーニングです。このことはトップアスリートだけでなく、生きていく上で誰もが必要なスキルだと考えています。基本的な考えは以下の3点です。
【1】呼吸を整える
自分らしいパフォーマンスを発揮するには常に「自分のリズム」でいることが大切。そのために重要なのが呼吸を整えることです。不安になると呼吸は浅くなり、逆に落ち着くと呼吸はゆっくりになります。
ここで気を付けたいのは「整える」は「鍛える」ではないこと。私はトレーニングに来た方にまず「3秒吸って4秒止め、6秒かけて吐き出す」ということをしてもらうのですが、この目的は自分の呼吸=リズムにフォーカスしてもらうことです。坂道のダッシュなどつらいトレーニングの際も、呼吸に意識を向けることで、苦しさや不安よりも自分自身への集中が高まり、パフォーマンスを発揮できるようになります。
【2】セルフトーク
言葉には皆さんが思っている以上に力があります。誰かに褒めてもらえることはとてもうれしいことですが、機会は多くありません。だったら自分で自分を褒めてみましょう。例えば「今日できたこと」を5つ言葉にして、自分を褒めてみる。すると心に余裕が生まれ、自然と感謝が湧いてきます。心が潤っていると周囲にも優しくなれるし、安心があってこそ、何かに挑戦する勇気も生まれます。
【3】ビクトリーポーズ
タイガー・ウッズは「ゴルフがうまくなりたかったら良い歩き方に変えよう」と言っていますが、これは「行動を変えることで意識を変える」ことを目指す私の考えとも一致するものです。
不安になるとうつむきがちになって呼吸も浅くなりますから、正しい姿勢、正しい呼吸を意識することで、自分が最もパフォーマンスを発揮しやすい状態を意識的に作り出していきましょう。