ICT(情報通信技術)を活用し、ハウス内の温度や湿度、二酸化炭素濃度などを自動で制御する最新の農法によるトマト栽培が、茅ヶ崎市中島で行われています。神奈川県内で飲食店などを展開する地元企業「ロココファーム」(茅ヶ崎市中島913)が「安全な食の提供」を目指し、構想から数年をかけて実現にこぎつけました。
飲食チェーン「平塚富士キッチン」が運営
ロココファームは、飲食店や仕出し事業を展開する(株)平塚富士キッチンの子会社が運営するトマト農園。同社の岩田直樹社長は「お客様に安全な食を提供するために、生産から取り組む必要があると以前から考えていた」と約5年前から研究を進め、昨年3月から本格的に生産を始めました。
同園が取り入れるのはICTを活用した「太陽光利用環境制御型ハウス」です。
室温が高くなれば、自動で窓が開いて外気を取り入れ、湿度が足りなければミストが噴出されるなど、常に設定した数値になるように制御されています。作業の効率化が図れるうえ、安定的に作物を生産できるとして注目が高まっています。
通常、水と液体肥料で植物を育てる「水耕栽培」を採用することが多いですが、同園では土での栽培に取り組んでいます。
土耕の場合、1年で土の入れ替えが必要になるなど、手間もコストもかかりますが、農場長の東海直明さんは「科学的に実証されたわけではないものの、水耕よりも土耕の方がうま味が優ると言われています」と、トマトそのものの味を引き出すことにこだわっています。
現在は、大玉でトマト本来のうま味が楽しめる「りんか409」と、中玉で酸味と甘みのバランスがよい「シンディースイート」の2種類を栽培。昨年8月末に定植し、10月末から収穫が始まりました。今年7月末ごろまで、1日で2〜300kgが獲れるといいます。
収穫されたトマトは、JAさがみが運営する直売施設「わいわい市」や地元スーパーマーケットの地場野菜コーナーのほか、農場でも直売しています。
ジュースやパスタソース、ジャムなどの加工品も販売
農場ではジュースやパスタソース、ジャムなどの加工品も販売。調味料などをなるべく少なくして素材の味が楽しめるよう工夫しているほか、加工を地元の福祉施設に依頼するなど「農福連携」も進めています。
販売先の確保など課題は多いですが、岩田社長は「経験を重ねて収穫量を増やし、事業として成り立たせていきたい」と話していました。
詳細は「ロココファーム」で検索を。