仕入れてきた地場野菜や焼きたてのパンなどが並ぶ「市(いち)」の開催を通して「顔の見える関係からのつながり」を構築しようという取り組みが、高津区内久末で広がっている。主宰者が思い描く、その将来像とは―?
手探りからの出発
毎月2回、土曜日に「居宅介護支援事業所よろこび久末」(高津区久末1800の26/【電話】044・750・9147)で開かれているこの「よろこび市」。同所施設長の吉田聡子さんと、スタッフの梅村泰夫さんが2年前から始めたもの。
「川崎市生活支援コーディネーター」としても活動する両名は、地域における生活支援体制整備事業の一環としてこの市を始めたのだとか。「当初は私たち自身も明確なものがなく、取り組みや活動内容も各事業所に任せられているので、何から始めるか手探りの状態でしたね」と梅村さん。そこで近隣をまわり住民に声掛けし、話しをすることで地域を知るという活動に専念した。また地域の民生委員児童委員などとも意見交換を重ね、買い物に不便を感じている人が多いことなどを勘案した結果「市」を実施することにしたという。
今や地域の風物詩に
「市」に並ぶ地元の新鮮な野菜や焼き立てのパンは、事業所近くにある農家やパン屋に活動の趣旨を伝えて快諾を得て仕入れたもの。吉田施設長は「バスに乗ったり重いものを持って帰ってくることが億劫になったという方も多く、ほんの少しの時間でも生活の張り合いになれば」とその意義を説明する。
リサイクルされた洋服なども取り揃えられており、開催当日は10時のスタートを待ちわびた利用客で毎回賑わいをみせるなど、今では久末エリアの風物詩として定着しつつある。

身近な悩みが寄せられる「相談コーナー」
またこの「市」の実施を契機に、身近なことや介護についての相談も増えており、地域の民生委員や地域包括支援センターに繋げることもあるのだとか。吉田施設長は「高齢化率の高い地域の課題は様々ありますが、ちょっとした相談でもよろこび久末にきてもらい『顔の見える関係からのつながり』をつくること、『閉じこもりにならないこと』を目的に、幅広い年代に(よろこび市に)参加してもらうことで一緒に”地域の応援団作り”をしていきたいですね」と、将来を見据えて話している。
※次回開催は7月16日(土)、次々回の開催は7月30日(土)