世界で最も権威がある子どもたちのフラコンペティション『クイーン・リリウオカラニ・ケイキフラ・コンペティション‐ジャパン』が2023年2月11日(土)に茅ヶ崎市で開催されました。翌12日(日)は、ハワイアンカルチャーを体験するワークショップ『カリヒ パラマ オブ ハワイアン アーツ』が茅ヶ崎市民文化会館で行われ、小さなフラダンサーたちは“本場”に触れられる貴重な機会を楽しんでいました。
ハワイでも貴重なフラキイが初めて茅ヶ崎にやってきた。
ワークショップの見どころは、茅ヶ崎が史上初めての開催となったフラキイが紹介された講座。もしかしたら、ハワイ通の方でも“フラキイ”という言葉は耳馴染みがないのでは?
フラキイとはハワイアンフラの操り人形のこと。お土産で売られているような、どこか可愛らしいフラ人形をイメージしていたのですが、「日本で言えば“文楽(人形浄瑠璃)”に近いものです」と説明してくれたのは講師のリリノエ・リンジー(Lilinoe Lindsey)さん。実は、フラキイは失われつつあるハワイの伝統文化で、現在ではハワイの3ファミリーにしか伝承されていないものだそう。リンジーさんは「皆さんにフラキイを紹介できて嬉しいです。フラキイの伝統を繋いでいきたいです」
フラキイで使われている材料はすべて自然素材だそう。身体と顔は一本の木材を手彫りして作られており、身に着けている衣装もターメリックなどで染めあげているとのこと。作るのにとても手間が掛かるようで、リンジーさんも「最初のフラキイが完成するまでに1年かかってしまった」
リンジーさんからの「近くで見ると材料や手彫りした感じもよく分かるよ」の言葉に参加者たちは実際にフラキイに触れる経験も。茅ヶ崎のフラ教室に通う女の子は「身に着けているレイも全部自然素材で手作りしていると聞いてビックリしました。貴重なフラキイに触れることができて嬉しいです」
熱が入った発音指導のハワイアンソング講座
『ウクレレでハワイアンソングを歌おう!』の講座でウクレレを奏でるのは講師のキャロリー・ニシ(Carolee Nishi)さん。ウクレレの優しい音色に癒される…と思っていると、ニシさんから飛ぶ大きな指導の声。
どうやら参加者が日本語のカタカナを読むように英語の歌詞を発音してしまうので、何度も指導されている様子。「“マウイ”じゃないよ!“マァウイ”だよ」(注:筆者の拙いヒアリング力ではこんな感じです、ご容赦を)とニシさんが何度もお手本を見せます。
梅田小学校に通う6年生の児童からは「likeとか簡単な単語だったら聞き取れたけど、とにかく発音が難しかった。歌だけでなく言葉の勉強にもなりました」との声。この講座では通訳がいなかったこともあり、英語でのコミュニケーションに苦労した様子の参加者も見られましたが、終了時間を大幅にオーバーするほどの盛り上がりとなっていました。
色鮮やかで華やかなクペエ作りも
クペエ(Kupp`e)とは手首や足首に着けるレイのこと。これを身に着けると振り付けを忘れないとも言われるフラには欠かすことができない重要な装飾品の一つだそう。色とりどりの植物を集中して黙々と巻きつける参加者たちですが、完成すると途端に賑やかに!手首や髪飾りにしたクペエを身に着けた参加者たちはお互いに写真を撮り合うなど、「かわいい~」の声が途絶えることはありませんでした。
本場の文化を体験して、茅ヶ崎とハワイがより身近なものに
主催のカリヒ パラマ カルチャー & アーツソサエティ ジャパンの木村実花さんは「他のフラ大会で一緒になったことがある子どもたちが楽しそうに交流している姿はまるで同窓会のようでした。また、先生方が教室・流派の垣根を越えて、同じ部屋で学ばれている貴重な場面を垣間見て、ワークショップを企画できたことが嬉しく思いました。次回はより多くの茅ヶ崎市民の皆さまにもご参加いただければと思っています」
今回のワークショップでは講師と参加者は英語でのコミュニケーションが中心。そのため、参加していた子どもたちには少し難しいかなと感じる場面もありました。ただ、言葉がすべて通じなくても、フラやハワイアンカルチャーを“もっと理解したい”“もっと伝えたい”という気持ちがコミュニケーションに繋がっているようでした。
本場のハワイアンカルチャーが体験できる湘南・茅ヶ崎。こうしたイベントを通じて、ハワイアンカルチャーやフラへの興味がより刺激され、茅ヶ崎とハワイ・ホノルルの関係がさらに身近なものになっていくのではないでしょうか。