10月1日に開局する「茅ヶ崎エフエム」の社長を務めるのが中西正樹さん。開局を前に、コミュニティFM局への思い、そして、茅ヶ崎への思いなどその胸の内を聞きました。
コミュニティFM設立への「期待」感じた
―茅ヶ崎エフエムが設立することになった経緯、当時抱いていた思いを教えてください。
「私は1998年にアミューズに入社し、サザンオールスターズのマネージャーとなり、2000年、13年と茅ヶ崎ライブを2度経験しました。私は京都の出身ですが、茅ヶ崎は第2の故郷のような存在。たくさんの方々と出会い、接していくうちにサザン、加山雄三さんに代表される音楽の街、著名な映画人たちが作品を残した文化の街である茅ヶ崎に、FM局がなぜ無いのかといった声を聞くようになりました。そして今年、サザンが45周年を迎えるに当たり、街の声がさらに強くなっていると感じ、3度目の茅ヶ崎ライブに合わせて局をつくればお世話になっている茅ヶ崎の方々に喜んでもらえるのではと考え、設立を試みました。やるからには全国のモデルケースとして、茅ヶ崎ならではの放送局にしていきたいです」
「桑田(佳祐)さんも地元の同級生たちからFM局を求める声を聞いていて、呼応していたようで、今回の設立をとても喜んでくれていますし、設立によって地元が盛り上がっていくことを望んでいると思います」
―アミューズが局の運営に関わるという異色のFM局ですが、そうした強みをどのように生かしますか。
「アミューズ主体というより、共にサザンのレコードをこれまで手掛けてきたビクターエンタテインメントと07年に設立した、タイシタレーベルミュージックが主体となり、このプロジェクトを進めています。多くのイベントも開催してきましたので、そうした経験も踏まえ、リスナーの反応を見ながら、さまざまなアプローチから茅ヶ崎のみならず、全国に発信できると思います」
「運営についても、企業に協賛スポンサーを募るだけではなく、市民からのメッセージ広告とか、またはサッカーやバスケといった大会を主催して皆さんがつながる場を提供していくなど、地域、放送、文化が三位一体となって運営する、全国的にもモデルとなるような局を目指します」
―地域とどう関わっていきますか?
「コミュニティFM局の役割である、災害への備えなど市民の生活を守ることはとても重要です。全国的に水害などの天災が頻発しており、茅ヶ崎には海もあるので、災害時は正確な地域情報で市民に安心感を持ってもらうとともに、平時でも災害時に備える情報を発信することで、危機感を共有していくことが重要です」
「東日本大震災から5年後、桑田さんたちと被災地・女川(宮城県)の臨時災害放送局に足を運ぶ機会があり、温浴施設に設けられたステージでサプライズライブを行いました。桑田さんはさまざまな形で震災と向き合い被災者を応援していましたが、コミュニティFM局として地域住民を元気づけることも我々の役割の一つだと思います」
体験価値を高めたい
―今後の展開、構想を教えてください。
「イベント、ライブ、マルシェ、各種大会など体験することの価値が高まっています。コロナ下では電波を通じてコミュニケーションを図っていましたが、触れあうことの大切さを今はひしひしと感じています。今後はそうした体験と放送の両輪をうまくつなげ、放送が下支えとなって体験価値を上げていきたい。そうすればラジオの立ち位置も変わります。浜降祭や花火大会など体験をキーワードに、感動できるコンテンツを増やしていける局でありたいですね」
―茅ヶ崎市民にメッセージをお願いします。
「私たちは『茅ヶ崎の皆さんといかに近づけるか』をコンセプトに局づくりをスタートさせました。皆さんの顔を思い浮かべながら、茅ヶ崎に合ったオリジナルの局を一緒につくっていきます。皆さんに愛され、全国にも誇れるような局となり、みんなが集える場所にしていきます。よろしくお願いします」