<潜入せよ!>玉川学園サンゴ研究部がスゴい…!「サンゴを育てて海へ還す」生徒たちの研究を取材してきました

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<潜入せよ!>玉川学園サンゴ研究部がスゴい…!「サンゴを育てて海へ還す」生徒たちの研究を取材してきました
両手で「3」「5」のポーズをとる玉川学園サンゴ研究部

この情報は2023年取材時のものです。

玉川学園には他ではなかなか入部できないクラブ活動がある。それは「サンゴ研究部」だ。ある生徒たちの純粋な知的好奇心から始まったサンゴの研究活動は現在12年目。小学6年生から高校3年生までの47人が、学内の部室に設置された水槽でサンゴを育てて、沖縄の海に自分たちの手で直接移植するために、日々活動している。

きっかけは理科の授業。「サンゴの白化現象を見てみたい!」

理科の環境学習の授業で、サンゴ礁の白化現象を知った小学6年生の生徒たち(2011年当時)の、「実際に自分たちの目で見てみたい!」という声から、自由研究が始まり、その後「もっと知りたい!」という生徒のためにクラブ活動も開始。自由研究担当の市川信先生と共に沖縄県石垣島を訪れ、サンゴ礁について学んだ。那覇空港で見かけた小さな水槽でサンゴの飼育が行われていることを知り、「学校でもできるかもしれない」と手探りで育て始めた。

  •  サンゴの白化現象とは?

サンゴと共生している植物プランクトン(褐虫藻)が失われることでサンゴの白い骨格が透けて見える現象のこと。白化した状態が続くと、サンゴは光合成生産物を受け取れず壊滅してしまう。原因は、温暖化等による海水温の上昇と考えられており、大規模な白化現象が1980年代以降急激に増加。また、台風による破壊、食害動物による被害なども原因となり、サンゴ礁の存亡は国内でも各地で深刻化している。

そもそもサンゴ礁は、「海の熱帯林」「海のオアシス」と呼ばれ、生物多様性の保全上、特に重要な生態系。天然の防波堤とも言われ、海流や波の影響をやわらげることで海の中に多様な環境を作り出しているほか、二酸化炭素の循環など海の豊かさを作り出すことに大きく貢献している。(水産庁HPより)

クラブ活動発足から10年間、厳しい水質管理や掃除を行ってきた。週に2~3回の水質検査と水槽の掃除、週1回の海水の入れ換え作業を欠かさない。少しの変化でサンゴの調子が崩れると、水槽内でも一気に白化が進むため、水質や温度の変化には神経を使うという。

「生徒たちは、サンゴを育てる中で、自然界より早く大きく安定的に成長させるにはどうしたらいいのか、を軸に様々な実験に挑戦しています」と話すのは、サンゴ研究部顧問の市川先生。発足時から生徒に寄り添い、その好奇心に応えてきた。

「自分は社会科の教師。専門家ではないので、生徒たちからでる疑問などにはその都度、一流の方と触れ合えるよう心掛けています」との言葉通り、サンゴ研究の第一人者とも呼べる大学教授や陸上養殖のエキスパートを招き、指導を依頼。部員たちはそのノウハウを蓄積し、後輩たちに伝えている。

2022年夏に現地の伊江漁協共同組合の協力のもと、海に潜り、初めて自らの手でサンゴを海に植えた。2023年夏にも、部員たち自身によるサンゴ移植を行った。

部員の声を聞きました

  • はじめて参加した吉住実咲さん(13)は「頑張って育てたサンゴを移植できて嬉しかった。50株植えたけど、自然の中での50株はすごく少ないので無力さを感じました」と複雑な感情になったと話す。
  • 2回目の挑戦となった和田ひなたさん(14)は「移植まで白化せずにちゃんと育てられてよかった。自然界でも強く育ってほしい」と希望を込める。
  • 新入部員の立原佑馬さん(13)は「理科や実験が好きで入部しました。入部前は水族館にいっても魚しか見てなかったけど、今は岩とか動かないものにも目が行くようになりました」と入部後の自身の変化を感じている。

日本サンゴ礁学会やコンテストで研究発表。SNSでも情報発信!

活動の1つの柱にもなっているのが、研究発表と情報発信だ。日本水産学会や日本生態学会、日本生物教育学会などの学会発表だけでなく、北海道大学主催の海の宝アカデミックコンテストや東京理科大学主催の坊ちゃん科学賞などの発表会のほか、中央大学環境論文大会など、様々な外部大会に積極的に参加し、数々の優秀賞に輝いている

 

そんな中、部員たちに必要なもう一つのスキルが「スライドづくり」。研究発表のたびに、プレゼン用の資料を作成しており、時には数十枚のスライドを写真入りで作成する。「もっと文章をまとめる力やデザインセンスを磨きたいという気持ちになる」と吉住さん。

また、SNSでの情報発信も高等部メンバーが担当。サンゴの育成・移植は、規模としては小さいが、この環境課題を多くの人に知ってもらうことで、研究部の活動の価値が高まると部員たちは考えている。

目に見えない場所に意識を向けられる人になる

顧問の市川先生はクラブ活動を通して、部員たちが成長していく姿を見守ってきた。部員自身が考え、実行し観察していく中で、思い通りにいかなかったり、新たな課題が見つかったりと次々にいろんな出来事が起きる。「部員たちはそのたびに、打たれ強くなっていく気がします。そして、一つの視点だけが正しいと思いこまなくなりますね」と市川先生。また、漁協や他大学の教授など外部の人々とつながることで自分たちだけではどうしようもない事態になってしまった時に、誰かが手を差し伸べてくれることで、交流が生まれ、新しい自分に出会っていく。「たくさんの視点を持ち、目には見えない部分にも思いをはせることができる、そんな大人になっていけます」と市川先生。

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公開日:2023-10-06

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