鵠沼海岸在住の会社員、小菅達之助さん(57)によるデジタル絵画の個展「マウス百画華十」が7月31日(木)から8月3日(日)まで、KATACOTO GALLERY(鎌倉市扇ガ谷1の1の21)で開かれる。
昨年、喉頭がん治療のため、声帯を全摘出した小菅さん。周囲の人たちに元気な姿を届けたいと、かねてからの趣味だったマウス画の個展を開くことに決めた。会期中は「見覚えばかりの湘南風景」をテーマに、デジタルでありながら素朴なタッチの作品50点以上が並ぶ他、体験コーナーも設置される。
問い合わせは小菅さんのメール(kotatsu551968@yahoo.co.jp)またはFacebookから。
絵で語る「生きる力」
小菅さんが、マウスで絵を描き始めたのは20年ほど前から。商品企画の仕事に携わる中で、当時はまだ珍しかったマウスに触れ、画面を自在に操作できる便利さに衝撃を受けた。以来、会社だけでなく自宅でもマウスで絵を描くことが仕事の息抜きになり、これまで2千枚以上描いてきた。「仕事でマウスさばきを鍛えられた。絵は真面目に働いてきた自分からのお土産みたいなもの」と柔らかく笑う。
あえて便利なレイヤー機能を使わず、デジタルながら実際の紙に描くようなシンプルな手法がこだわり。自身で撮影した写真を見ながら、濃い色から薄い色へと筆を進め、風景を単純化していく。今回の個展では、青春時代を過ごした藤沢で再び暮らし始めて見つけた「ドキッとするようなきれいな瞬間」を描いた作品を集めた。
声帯全摘出当日も病室で絵を描いていたという小菅さん。発声訓練を行い、現在は職場にも復帰した。「何があっても人間生きていける。元気に過ごす姿を見せることで、辛い思いをしている人の力になれたら」

自宅のパソコンとマウスで江の島を描く小菅さん
個展ではマウス画体験コーナーも準備。「画材が無くても始められる。ぜひ気軽に見に来て楽しんで」と呼びかけた。