頼れる町の「管理人さん」
○…近所の人と連絡が取れなくて――。新聞でも空家問題が取り沙汰された4年前、そんな相談を受けてすぐに動いた。自治会役員らとパトロールや聞き取りを重ね、独自の調査で12戸の空家を確認。所有者の連絡先を把握し、全戸建て替えにまでこぎつけた。「とにかく早めに動かないと時期を失ってしまう。お礼の言葉が何より」。新たな空家にも目を配り、住みよいまちづくりに尽くす。
○…定年後、10年近く続けた仕事がマンションの管理人。「すぐに対応してあげることが住民さんのためになる」と、ゴミ置き場の整備からネコよけ、ハチの駆除まで何でも請け負った。800世帯が加入する多摩新町自治会の会長として6年目の今も、その行動力は健在。最近では、住民の声を受けて町内の消火器50本以上を新調した。「小さなことでも相談があったら対応するのがポリシー。突発的に年間の事業計画にないことばかりやっちゃう」と一笑する。
○…茨城県水戸市出身、兄姉のいる末っ子。親は梅の名所・偕楽園の近くでラーメン店を営み、小学生のころから出前を手伝った。「梅まつりの時季は書き入れ時」と、忙しい日々を懐かしむ。高校では農産加工を学び、川崎市内の食品工場で63歳まで働いた。職場の陸上部では駅伝でアンカーを担うなど活躍。宿河原に居を構えて30余年、その足で地域を奔走する。
○…空家だった場所は1戸につき4、5戸の新居が建ち、若い住民が増えた。「ゴミ捨ての問題や防災のためにも、自治会に入ってもらうようにお願いしている」と一軒一軒、説明に時間を惜しまない。老朽化していた自治会館は、今年中の完成を目指し建て替え工事中。「誰でも来てもらえる、老若男女が集まれる場所にしていきたい」。みんなの喜ぶ姿を待ち望む。