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<ベーカリー たわわや 俵光子さんの茅ヶ崎暮らし>毎週木曜日、ラチエン通りに開店する話題のパン屋さん

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<ベーカリー たわわや 俵光子さんの茅ヶ崎暮らし>毎週木曜日、ラチエン通りに開店する話題のパン屋さん

茅ヶ崎市菱沼海岸在住 俵光子(たわら・みつこ)さん
三重県出身。茅ヶ崎で生まれ育った夫と結婚し、茅ヶ崎で暮らすようになり22年。長男、長女との4人暮らし。2014年に週に1度木曜日だけ営業するパン屋「たわわや」を自宅にオープン。近所のお客様を中心に、地元では知る人ぞ知る有名店。

どこかホッとする味わいが人気のたわわや。開店およそ1時間で完売することも!

国道1号から南に向かって走る通りのうちのひとつ、「ラチエン通り」。そのラチエン通りと鉄砲道がぶつかる交差点から徒歩で4~5分南下すると、「たわわや」と書かれた小さな看板が見えてくる。

毎週木曜日、ここには朝から行列ができる。行列の先をたどっていくと、にこやかに接客する女性の姿が。彼女はパン屋「たわわや」をひとりで切り盛りするオーナー、俵光子さんだ。お客さんは、店先の出窓から室内に並ぶパンを選び俵さんに伝える。すると、俵さんが注文のパンを取り、お客さんに手渡す。

俵さんが朝2時に起きて焼くのは、旬の食材を使ったパンなど約20種類のパンで、ときには開店から1時間以内に完売することもあるという。人気の秘密は、どこかほっとする味にある。

「私には職人さんのような凝ったパンは作れません。ちょっと不格好でも、素朴な美味しさを感じられるパンを作りたい」と俵さん。

オープンしたのは2014年。パン作りが大好きで、家族や近所の人に作っては食べてもらい「おいしい」と言われるのがとてもうれしかったそうだ。そしていつしかその延長に週に1度だけ開く、パン屋さんの構想が生まれた。

オープン以来、営業は木曜日のみ。その理由を尋ねると…
「あくまで私の本業は“お母さん”でいたかったから。当時小学生だった子どもたちにも負担がかからず、メインの母親業に支障が出ない形を模索した結果が週に1度のパン屋さんでした」

1人で作り、1人で接客。対面販売だからこそ生まれる温かい関係。

「暑いですね〜」「この間の冷やしクリームパンすごく美味しかった!近所の人にも配りたいから5つちょうだい」「はじめまして。インスタを見てきました」など、「たわわや」には初めて来る人や常連さんなどさまざまな人が訪れる。そして、お客さんは自分の買い物を終えると次に並ぶ人に「お先に〜」と声をかけて帰っていく。

「お客様に本当に恵まれていると思います。私は宣伝も発信も苦手で最近やっとインスタを覚えたばかり(笑)。今があるのはお客様の口コミのおかげですね」

お客様の話になるといっそう楽しそうに語る俵さん。
毎週訪れる常連のおじいさんは、来られないときには俵さんが心配しないように「来週は病院に行くから来られないよ」と伝えてくれるのだとか(笑)。

店内は自宅のリビングも兼ねているため、スペースの問題上仕方なく対面販売にしているが、対面だからこそ生まれたお客様とのほっこりと温かい関係がたくさんあるのだろう。

海から車で30分、里山で家庭菜園も

俵さんの作るパンには、自ら畑で育てた野菜も使われている。茅ヶ崎の最北部にある芹沢で、広大な畑を10年ほど前から借りている。敷地は畑仲間の主婦メンバー10人で世話をし、様々な作物を作っている。夏の今は、トマトやジャガイモ、ピーマン、タマネギ、獅子唐辛子…等を収穫。もちろんすべて無農薬のものだ。

「車で30分の距離ですが、走っているとガラッと空気が変わる境界線のような場所があるんですよ。茅ヶ崎にもこんな場所があるんだと思うくらい、海側とは景色も空気も違います。見渡す限り濃い緑が生茂っているこのエリアの雰囲気も大好きです」

畑で土を触っていると気持ちが元気になると俵さん。「体力的にはとてもキツいのですが、終わった後のすがすがしさは何にも変え難いもの。土を触ると、不思議な安心感があって癒されます。ゆくゆくはパンと一緒に野菜も販売できたらと考えています」

茅ヶ崎流あいさつ、“ど~も〜”の軽やかなトーンが心地いい。

俵さんは三重県出身。22年前、結婚を機に茅ヶ崎に住む夫の元へやってきた。

「最初に驚いたのは、茅ヶ崎の人たちのあいさつです。みんな“ど~も〜”って言うんですよ。はじめはその軽やかさになじめなくて、すごく違和感があったんです。22年経った今、“どうも〜”というあいさつは、このまちにはぴったりだなと思っています。朝だからおはようとか、昼だからこんにちはではなく、ラフに言い合える“どうも〜”は、型にはまらない自由さがあって、気取らず、肩の力がいい感じに抜けたおおらかさもあって。まさに茅ヶ崎の人そのものだと思います」

茅ヶ崎育ちの夫に対しては「生粋のザ・茅ヶ崎人。休日は、麦わら帽子をかぶって朝から海釣りに出かけ、お昼ご飯に帰ってきたと思ったらまたすぐ海へ。小学5年生から遊び方が変わってないんじゃないかって思います(笑)。そんな夫を見ているからか長男も“茅ヶ崎は自由なところがいいね”と言っています」

夫婦で海へ行き夕日を眺めて帰ってくることもしばしば。「空が澄んでいると富士山がどんと大きく見えるのですが、何度見てもその雄大な姿には“ドキン”とします。思わず手を合わせたくなる、このまちの大好きな光景です」

「2番目の子どもも高校生になり、少しずつ子育ても落ち着いてきた」と言う俵さん。
「子育ても最終段階になり、50代は自分のための時間も増やしていこうと思います。そして、その後60代、70代になったら人のためにできることをしたい。大きなことはできなくても、私にできる範囲の手助けをして生きていきたいです」

インタビューの終わりに、俵さんが密かに抱いている夢をそっとカミングアウトしてくれた。「私、中学生のときサザンオールスターズの大ファンで。桑田さんの出身地にお嫁に行くと決まったときは、地元の友達に『絶対、桑田さんと友達になってくるから!』と豪語してきたんです(笑)。今はまだその夢は叶っていませんが、ずっと頑張ってパンを作り続けたらいつか、ひょっこり桑田さんが買いに来てくれるかななんて夢見てます(笑)」

Information:
たわわやInstagram
https://instagram.com/tawawayapan?igshid=10k5u0jkla09z

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公開日:2021-04-01

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