大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第3話『挙兵は慎重に』で、物語のカギになった”木簡”。何が書かれ、どのように使われたのか、鎌倉歴史文化交流館の学芸員・山本みなみさんに聞いた。
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木簡とは短冊型に加工された木製品で、一端に切れ込みが入ったものや、先端を剣先形に尖らせたものなどがある。木簡の種類は書かれた内容で分類され、物品の出納などを記録した「文書木簡」と、物品管理のために荷札のように使用する「付札(つけふだ)」がある。
鎌倉市内でも見つかっており、御成小学校内の今小路西遺跡では天平5年(733)銘の木簡が出土している=写真(複製)。表面には「糒(ほしいい)五斗天平五年七月十四日」と書かれ、蒸して乾燥させた米を収蔵する旨が記されている。
写真のように木簡上部にある切れ込みは、ひもを結びやすくする工夫で、木簡をまとめたり、木簡と物品を結びつけるために利用したもの。ドラマでも、その様子が描かれていた。また使用済みの木簡は、面を削って板が薄くなるまで再利用された。鎌倉市内でも削り屑が出土している。
山本さんは「木簡を使って敵の兵力を分析する面白い解釈。勝算がないと動かない現実主義者の北条義時像を表すエピソードになったのでは」と話す。
天平5年銘の木簡は同館・常設展示で公開している。