脱サラ農業を志し、移住を決意
どこまでも澄み渡る青空の下、広々とした畑で野菜の収穫に勤しむのは中井町で農家を営む石橋雄二さん(44)と妻の有紀枝さん(40)。存分に土遊びのできる畑は、長男の龍之佑君(11)、次男の圭佑君(8)、長女のあかりちゃん(4)の遊び場でもあり、両親と収穫の喜びを分かち合う感動体験のフィールドでもあります。「長男は学校があって来られなかったけど、次男と娘が休みだから手伝いに来てくれたんだよ」と、雄二さんは大きなニンジンが獲れて喜ぶ子どもたちの姿に優しい眼差しを送ります。町内20カ所の畑でダイコンやキャベツ、ブロッコリー、ニンジンほか1年を通して多種にわたり栽培しています。
横浜市出身の石橋さんは26歳の時、ワーキングホリデーでオーストラリアへ。「1年間、現地の農家で働きながら旅をしました。仕事はきつかったのに楽しい気持ちが上回りました。身体を動かす仕事が自分にあっていると思いました」と振り返ります。
帰国後も農業への強い思いは変わらず、3年間会社勤めで資金を貯めてから脱サラして、農業を始めることにしました。三浦市内の農家で2年間修行し、技術面や販売方法などを学びました。そして独立を決め、関東近県の土地を見て回り、これまでに知り合った人の縁で中井町を紹介されました。第一印象は「のどかですごく良い環境」だそう。最初の頃は、修行した三浦市と中井町の気温差に戸惑い、栽培方法に悩んだ時もあったそうですが「地元の人は打ち解けると気さくでおおらかな性格の人ばかり。農業の先輩に助けてもらっています」。
のびのび子育てに絶好の環境
中井町は、定住目的で空き家を取得し、住宅の改修をしようとする子育て世帯や若年夫婦世帯への費用の一部の補助や学校給食費の補助、小児医療費の助成、紙オムツ購入のための補助券など移住者や子育て世帯の応援に力を入れています。「のどかな環境だけど、東名高速のインターチェンジがあり都心へのアクセスは良く、スーパーもあり買い物の不便さは感じません。今住んでいる地域は、近所の家と距離が離れているから子どもたちが騒いでも気にしなくていいね。窮屈な空間で育てるよりいいと思う」と、雄二さんと有紀枝さん。
「幸せに暮らせるのも、いろんな方との縁のおかげ」
良い土を育て、農薬は最低限の量にするなど安心して食べられて、美味しいものを提供することに力を入れているそうです。仲間と一緒にスーパーの直売コーナーに多種類の野菜をおろしていて、「お客様に魅力を感じてもらえるよう、季節を問わず常にコーナーに野菜が並ぶことを重視しています」。雄二さんは中井町の自然環境や生活環境に感謝し「これからも良いものを育てていきたい」と話しました。