横浜市戸塚区の市内でも珍しいという介護付有料老人ホーム併設のサービス付き高齢者向け住宅「クラシック・コミュニティ横浜」で、ユニークなアートプロジェクトを発見。地域新聞記者が取材した「アートあ」について余すことなくご紹介します!
- このレポートでは「クラシック・コミュニティ横浜」が行うアートプロジェクト「アートあ」の取組みを以下3点にまとめました。
アートプロジェクトで「あっ」とする感動と体験を
「ご入居者にイキイキとした生活を提供したい…!」
「アート、とっつきにくいですよね。よくわからないですよね。でも、それでいいんです。理解する必要、わかる必要はありません」
施設の運営法人で今回の取組みのアートディレクターを務める、佐藤麻紀子さん(サトマキさん)の言葉です。サトマキさんは学芸員として長年アートに関わっており、日本最大規模の一夜だけのアートの饗宴「六本木アートナイト」の立ち上げや、大型アートフェスティバルのマネジメントなどを幅広く担当してきた人。サトマキさんはこう続けます。
「アートは豊かな社会に欠かせないもので、人と人とをつなぐ最適なツール。だからこそ、介護の現場には心のケアとしてアートが必要なんです。アートを通じて、ご入居者にイキイキとした生活を提供できればと思っています」
全国10施設で「一流のアート」を展示
「アートあ」は2022年の8月にスタートした企画で、運営法人が展開する全国10施設で行うプロジェクトの総称です。横浜市戸塚区にある「クラシック・コミュニティ横浜」は横浜市内でも唯一の実施施設になり、大規模な実施は2023年3月末まででした。
プロジェクト内容は
- 4つのアート(現代アート・花・BGM・香り)で施設内に彩を添える
- 施設の特性にあわせたアートイベント(ワークショップ)の実施
の2つが主な取り組みです。
4つのアートとは
- 現代アートを展示する
専門家監修で選定した現代アート作品が共有スペースに展示されており、日常生活の中で自然とアートを感じ向き合うことのできる空間を演出しています。
現代アートは高齢者にとっては見慣れないもので、気づきも多いはず。その感情(快の感情も不快の感情も)や気づきが、脳への刺激となり、自分の人生や心を見つめなおすきっかけとなることを期待しているそうです。
- 一流のフラワーデザイナーがデザインした花を飾る
花は癒し効果やリラクゼーション効果があるほか、フラワーデザイナーの斬新なデザインによって、会話が生まれるので、元気や楽しみの源にもなるそうです。
- 選曲家がセレクトしたセンスの良いBGMを流す
一週間をひとつのサイクルとして、1日の目覚めから眠りまでの時間を意識できるつくりに。多彩な音楽で日本中や世界中を旅する感覚が持てます。
- アロマテラピストが特別にブレンドした香りで空間を演出する
嗅覚のメカニズムを利用した植物療法「アロマセラピー」として実施。植物の自然の香りによって、季節感や生活リズムを上手に取り入れられます。
認知症予防に効く香りを中心に季節の香りをブレンド(調合)しているため、飽きも来ず、認知症予防に効果を発揮するかも知れません。
また、外部の大学研究室協力のもと、アート鑑賞後のQOL変化や心理状態(気分)変化などを尋ね、芸術療法として効果があるのかどうかを判断する実証研究も併せて実施。新たな介護サービスの一つにするなど、今後の運営にも生かす多角的な展開がされているようです。
公式HPでは「一流アートを用いて入居するお客様の心のケアと認知機能の向上を目指す、これまでにない新しい介護サービスのトライアル実証」と説明されています。
サトマキさんは「実証研究の結果をより生かし、より介護の現場をアップデートさせていく。お客様だけではなく、働く人にとっても心地よい環境にしていくことも目的なんです」と語ります。
クラシック・コミュニティ横浜で6回のワークショップ
広大な敷地を持つクラシック・コミュニティ横浜には現在(2023年3月時点)100人ほどの入居者が住んでいます。同施設は他施設と比較しても倍以上というかなり広々とした部屋があり、夫婦揃って悠々自適なライフスタイルを送っています。
そんな入居者に向けて、同施設内にあるレストランで6回のワークショップが行われました。ワークショップの内容は以下の通りです。
ゆびのかたりて(人形作り)
光の箱(ステンドグラス制作)
切り絵・紋きり
はじまりのしま(カラフルな石制作)
自分史コラージュ
花のコサージュづくり
- 入居者の作品を館内に掲示
入居者が作成した作品は、館内にも飾られていて見る人を楽しませています。
花のコサージュづくりに参加した入居者の夫婦は「初めてこういうことをやって楽しかった。にぎやかで、(作品作りは)時間が足りなかった」と満足そうに話していました。
支配人の田山隆之さんは「喜んでもらえてよかった。今後も環境美化やアロマセラピーなど引き続き実施していきたい」と話していました。
今後の「アートあ」は…?
新たな介護サービスの構築を目指したユニークな取り組み「アートあ」。
4つのアート展示や、ワークショップといったイベント開催については2023年の3月末で一旦は終了になりましたが、この取り組み自体は継続的に実施していく予定とのこと。
- 研究機関による実証研究の論文化も2023年末ごろを見込んでいます。
サトマキさん「アートが科学的に介護サービスに効果的であることが実証されれば、またさらなる展開が期待できます」
クラシック・コミュニティ横浜での独自の取り組み
今後の展望について、支配人の田山さんによると、嬉しいことに「クラシック・コミュニティ横浜では『アートあ』の一環として、屋上庭園でガーデニングを実施していきます」と説明してくれました。
サトマキさんは「法人として運営する施設が全国で約370施設ある中で、屋上という見晴らしの良い場所で、適度な広さを持つ庭園を持つのはここ以外にない」と太鼓判を押し、「田山さんの熱心な地域活動への意欲も、当初の全国10施設の一つとしてクラシック・コミュニティ横浜を選んだ大きな理由の一つです。お客様によるガーデニングクラブを設立し、毎月一回、専門の講師を招いてガーデニングを楽しんでもらい、いつかこの地域の花壇など公共の場にもお客様の育てたお花が咲く日が来ると良いなあ、と田山さんと話しています」と笑顔で話してくれました。
見学や介護相談を随時受け付け
「ご相談をお待ちしています」
現在、資料請求、介護相談や見学を随時受付中。
ユニークな取り組み「アートあ」だけではなく、屋上庭園や広々とした部屋、自慢のレストランなど、見どころ満載なクラシック・コミュニティ横浜。田山さんの明るく優しい対応も好評ですので、ぜひ一度相談してみては? 田山さんは「まずはお気軽にご連絡ください」と呼びかけています。
お問合せはこちらから
「アートあ」の取り組みなどのお問い合わせは「クラシック・コミュニティ横浜」電話番号045-871-4271へ。
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