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川崎市市民ミュージアムは川崎市中原区にある「等々力緑地」内にあります。等々力緑地には、サッカーJ1で2連覇した川崎フロンターレのホームである等々力陸上競技場をはじめ、バスケットボールBリーグのブレイブサンダースの本拠地であるとどろきアリーナなどもあり、川崎市のスポーツと文化の拠点となっています。
川崎市市民ミュージアムはユニークです
2018年で30周年を迎えた川崎市市民ミュージアム。これまで何度か企画展の取材に行きましたが、その際にいつも同館の魅力を熱く語ってくれるのは広報の坂下さんです。
まずは、川崎市市民ミュージアムのテーマ。これは、市民ミュージアムのHP内「施設概要」(まずなかなか読まないトコロですね)に、『都市に集まる人々の刺激から生み出されたポスター、写真、漫画、映画、ビデオなど、近現代の表現を中心に紹介する』と書かれています。
つまり、誰もが見たり手にしたりできるモノで、保存される機会を失っているものを収集したり、テーマに沿った企画展示などを行っているのです。高価な世界に一つしかない「アート作品」を扱うのではなく、私たちの生活の中にある「アート」を扱っているのです。
漫画担当学芸員のいるミュージアム
漫画担当学芸員の新美さんは、ミュージアムの漫画部門が中心的に収蔵している戦前の漫画史が専門です。
新美さんに「漫画」をミュージアムで扱う事についてお話を聞いてみました。漫画や漫画が掲載されている雑誌には、その時代を映し出すようなモノが掲載されていてとても興味深いそうです。しかし、漫画の展示の難しさもある、と。漫画はストーリーあってのものなので、その中の1枚の絵を選んで展示しても、読んでいない人にその魅力を伝えることは難しいと感じるそうです。
それでも、原画には作者の意図や細かい指示など原画にしかない情報があり、同時に創作の生々しさが感じられるので、少しでも多くの原画を皆さんに直に見て欲しい、と話してくれました。
「手書き原画」は無くなっていくかも、、、
漫画の手書き原画は、過去においては雑誌の印刷が終わってしまったら用済みで、捨てられていたものもあったそうです。そして、昨今は漫画制作の場にコンピューターが導入され、「手書きの原画」と呼べるものが無いこともあります。それを考えると、「手書きの原画」が存在する時代は短いのかもしれません、と新美さん。
そして、「娯楽の多様化、子どもの数の減少を考えると、これからの漫画の価値はどのように変容していくのかは分かりません。変容していくからこそ、今現在のものを残すことにミュージアムとしての意味があります」と。
美術館・博物館に興味のない人たちにも来てほしい
「漫画」という身近な素材は、これまで美術館や博物館に興味のなかった人にとっても、良いきっかけとなるものかもしれません。川崎市市民ミュージアムは、日本の公立館で初めて漫画部門を設立した美術館という特徴を活かして、漫画に関わる企画展が開館以来数多く開催されています。
昨年2018年には連載50周年記念特別展「さいとう・たかを ゴルゴ13」や、ビッグコミック50周年展が開催されました。そして過去には、手塚治虫、鳥山明、ドラえもん、江口寿史、ルパン三世、少女漫画や青年漫画、戦前・戦後の漫画史、さらには海外の漫画まで幅広くを取り上げてきました。
開館30周年の最後の企画展は「竹宮惠子 カレイドスコープ 50th Anniversary」
2019年3月2日から4月14日まで、「竹宮惠子 カレイドスコープ 50th Anniversary」が開催されます。竹宮惠子さんの「風と木の詩」を初めて読んだ時の衝撃が今でも忘れられない私(レアリア編集部 55歳)にとって、とても楽しみな企画展です。
タウンニュース「川崎市市民ミュージアム 開館30周年 日本文化として漫画史を紡ぐ」はこちら