これまで川崎市北部市場のお買い物レポート「入門編」「探索編」と書いてきましたが、今回は気になっていた「市場メシ」の取材を台風一過で町は大混雑の2019年9月9日に敢行。市場の皆さんは、台風真っただ中の1時2時ころから通常通りお仕事されていたようです。こういう市場の方たちの力で私たちの食卓は支えられているんですね。
さて、食堂街ですが、市場内の中央に位置する「関連棟」の3階にあります。営業時間は大体朝8時~13時半頃までです。市場が開場している日は営業、が基本です。ただし、GWなど市場の開場が不定期になる期間は、各店舗によって営業が異なる場合がありますのでご注意を。
ご紹介するのは以下9店舗です。
(2024年9月更新)
『鮨 あらい』冷凍ものは使いません
まず伺ったのが『鮨 あらい』。以前、「探求編」の取材の際、熟成魚のお話を伺いました。店主の新井隼人さんは、あざみ野の某有名店での修業を経ての開業です。開業して、1年2か月です。実は新井さん、すし職人になる以前は、この川崎市北部市場の水産棟で働いていました。魚の目利きは、お任せです。
さて、イチオシメニューで出してくれたのが海鮮丼です。
この日のネタは、津軽で採れた「本マグロ」「しまあじ」「ホタテ」「いくら」「シメサバ」「生白魚」「さんま」「海老」「卵」です。
新井さんのこだわりは、冷凍ものは使わない事。朝2時には市場にきて、今日の食材を仕入れ、仕込みます。なので季節によって海鮮丼のネタも変わります。市場だからこその、新鮮なその日手に入る食材を使ったお鮨。一度食べてみる価値ありですね。
鮨 あらい 044-975-2858
『よしむら』毎日行っても飽きない
『よしむら』は、市場内に開業して9年目。店主は大のベイスターズファンの内田一夫さんです。以前は溝口で串焼き屋さんをされていたとか。
「よしむら」のおススメはセットもの。今回は「アジフライセット」と「もみじセット」を用意してくれました。
ボリューム満点のもみじセット 1900円税込
当日お店にご飯を食べに来ていた水産棟で働いているという男性にお話を聞いてみました。この方、毎日のようにこの「よしむら」でご飯を食べていると。「魅力は?」と聞くと「お米と小鉢たちが美味しい」と。メインは?と思いましたがそれは「美味しくて当然のこと」のようです。そして店主の人柄。食後は「じゃ、また明日」と帰って行かれました。
毎日食べても飽きない美味しさも、市場メシの魅力かもしれません。
よしむら 044-975-2859
『さか本』新鮮な魚介をお腹いっぱい
「さか本」は現在の店主、河西英樹さんのおじさんが開業したお店。市場で開業して34年目を迎えます。元寿司職人の河西さんがつくる海鮮丼が一番人気。市場で仕入れた新鮮な魚介類を使い、丼ぶりからはみ出てしまうほどのネタの種類と大きさ。見た目も華やかで味も大満足です。
写真は一番人気の海鮮丼。季節や仕入れ状況によって内容は異なります。
天ぷらの担当として、現役で厨房に入るお母さんは、足がしんどいと話しながらも元気に立ち働く姿が印象的。さすが長年お店を切り盛りしてきた方です。
さか本 044-975-2857
『天秀』夜の忘年会も
「天秀(てんひで)」を仕切る店主は池上広美さん。以前の店主と知り合いで、20年前に頼まれてフロア配膳をするパートとして働き始めた池上さん。「まさか自分がオーナーになるとは思っていなかった。」と。元店主は市場内の魚の仲卸さん。現在でも、朝の市場の仕事が終わると店に来て厨房に入ってくれるそうです。
現在はお嬢さんと2人で店を切り盛りしてます。忙しい土曜日はお孫さんも手伝いに来てくれるそうです。今回ご用意いただいたのは、「天秀定食」です。
写真にはありませんが、こちらのお店では「牛もつ煮」「クジラの刺身」も食べられます。中には「クジラのお刺身」を目指して来店される方もいるそうです。
また休場日や通常の閉店時間以降の夜にも、団体での予約が入れば対応してくるとの事。年末の忘年会や、ゴルフコンペ後のパーティなどでの利用もあるそうです。
天秀 044-975-2860
『シェット』市場で洋食
「シェット」の店主、小林義寛さんは78歳で、食堂街最長老。市場で店を開いて35年。
「80までは大丈夫」と娘さんに励まされながら、厨房に立ちます。こちらでは市場内では珍しい洋食が食べられます。おすすめはハンバーグ定食。
そして、豊洲市場から仕入れているマグロの中落ちが食べられる「中おち定食」も人気メニューとのこと。中落ちは「150g以上はあるんじゃないかな」と小林さん。
その昔呉服屋さんからスタートして、五反田で炉端焼き店を経て市場へ。
市場では珍しい洋食を出す店としてテレビの取材を受けたこともあるそうです。一度は食べてみたい「市場の洋食」です。
シェット 044-975-2861
『ちゃちゃ』の自家製パン&自家焙煎コーヒー
「ちゃちゃ」は美味しいコーヒーとモーニングセットなどが売りのお店です。市場にお店を出して10年。店内で焙煎したコーヒーと自家製食パンが楽しめるモーニングがこちら。
厚切りのトーストはふっくらとやさしい味わい。自家焙煎した香り豊かなコーヒーとの相性もバツグンです。
ちゃちゃ 044-863-8133
『伊豆屋』お腹もお財布も満足
和食「伊豆屋」は、北部市場がこの地に開場した時から現在まで変わらず営業を続けるお店です。現在の店主は2代目三田正行さん。ご両親が開業したこの店を若いころから一緒にやり、現在は店主となって続けています。
そしておススメメニューは各種サービスメニュ―700円税込。この値段で、ご飯みそ汁にメイン、小鉢が付きます。
市場開場当時は毎日60キロ以上のお米を炊いていたほど、市場全体に活気があったと話す三田さん。それでも現在でも毎日10キロのお米を早朝から炊いて、注文があった市場内のお店に、一人でお弁当を作って配達しています。「うちのメニューは価格は抑えめでも、ボリューム満点です」と話してくれました。
伊豆屋 044-975-2855
「そば処 旭」うまい蕎麦を腹いっぱい
石臼挽きの国産そば粉を使った風味豊かな蕎麦や、定食、どんぶりが食べられる「そば処 旭」。安くてボリュームたっぷりの料理が特徴です。店長の荻原学さんが、蕎麦好きで大食いだった亡き息子さんを思い、「息子が喜ぶ店をやりたい」と今年5月にオープン。お腹いっぱい食べたいならここへ。
おすすめは「天ざる」。大もりの蕎麦は風味とのど越しが良く、サクサクの天ぷらは大きなエビが2本も入っています。料理を担当しているのは、和食の有名店で働いていた板前さんなので、味は保証付き。他にも荻原店長が「みんなの喜ぶ顔が見たい」という思いから、カレーライスが600円、鶏のからあげ定食は700円とリーズナブルな価格で味わえるのでうれしいかぎりです。
そば処 旭 070-8592-3539
「PHO CHAN(フォーチャン)」市場の食材をふんだんに
ベトナム料理の定番、お米の麺を使ったフォーが人気の「PHO CHAN」。市場の新鮮な魚介類と近隣の農家から無農薬の野菜を使いオリジナルのフォーを提供しています。山本康夫店長はフランス料理出身なので味はもちろん見た目もおいしい!。店内の雰囲気もアジアンテイストで明るく、ランチの時間はママさんたちの姿も多いです。
お勧めは、その日仕入れた食材を使い提供する日替わりフォー。写真は「海鮮たっぷりのココナッツジンジャーフォー」です。魚介類と野菜がたっぷり入って、見た目も鮮やかな一杯。アジア料理というと辛くてスパイシーな印象がありますが、ベトナム料理は日本人の舌に合う料理が多いのが特徴。「食べやすいので、構えず気楽に来てください」と山本店長。ぜひ足を運んでみて。店内にはお店の味が気軽に味わえるレトルト食品も販売しているので、こちらもお勧めですよ。
POH CHAN 044-872-7073
市場でのランチは平日の早めの昼がねらい目。一般客向けのイベントなどを行っている土曜日は、どの店もランチ時には行列ができます。平日は市場関係者の方がお昼には多いようですが、土曜に比べると一般客が少ない分、比較的並ばずに入れます。朝9時ころからゆっくり買い出し、車に荷物を置いて早めのお昼、が良さそうです。
是非、市場メシ、友達誘って出かけてみてください!
関連記事はコチラ