引きこもりや不登校で悩む生徒を積極的に受け入れ、数多くの生徒を高校卒業まで導いているのが、県教委指定技能連携校「YGS高等部」の山本弘明校長です。まさにひきこもり請負人ともいえる存在です。高い評価を受けるのは、丁寧で親身になってくれる教育姿勢にありますが、その他にも理由がありそうです。
精神と福祉の面から原因に迫る専門性
スクールカウンセラーで精神保健福祉士でもある山本校長は、NPO法人青少年育成開発協会の代表も務めています。精神医療とのかかわりも深く、ひきこもりや学業不振の要因を精神の発達と関連付けて指導に取り組んでいるのが大きな特徴です。「学習習慣や生活環境だけでなく、発達障害や健康面から見ることが重要。例えば学習障害(LD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、アスペルガー症候群などの発達障害が認められるケースも少なくない。生徒本人、家族、学校がその精神の状態と向き合い、その特性やその状況にあった指導が重要」と話します。
- 山本さんは子どもの『ほめ方』『叱り方』も研究し、日常生活の会話を通じたコミュニケーションを重視しています。
面白いと感じる体験が、実生活に活きる力へ
YGS高等部では「退学者を出さない」教育を実施し、大学進学はもちろん、就職希望者の9割以上が実際、高校卒業後に仕事に就いているといいいます。YGS高等部ではいったいどんな授業が展開されているのでしょうか。
- 山本校長が生徒に伝えているのが、「実生活に活きる力」を身につけることです。そのため、生徒たちが関心を持ち、「面白い」と感じられる授業を進め、「参加」「理解」「習得」「活用」の好循環を生むことがポイントとなります。
YGS高等部では体験型の課外学習が多く、例えば、近隣企業への職業体験・インターンシップやボランティア参加、農業体験、自然教室といった授業が数多くあります。土曜日の特別授業「土曜会」ではエンタメ施設へ出かけたり、バーベキューを行ったりと、趣向を凝らしたイベントも実施し、普通の高校とは異なる楽しみがあります。
- 山本校長は「楽しい、面白いと感じることが、脱ひきこもりの一歩。そこから自主性が生まれ、なりたい自分に気づき、目標が見えてきます。そのステップを応援するのが私の役割」と話します。
山本校長は不登校や引きこもりの小中高生の保護者を対象に無料カウンセリングを行っています。「親子だけで悩んでいても前には進めません。一度専門のカウンセリングを受けることをおすすめします」と呼びかけています。
▼併せて読みたい