「障がいを理由に、狭い世界に留まっているだけでは、世の中の理解が得られない。もっと私たちが地域や社会へ出て行って、共生の道を切り拓いて行くことが大切」ー。
茅ケ崎養護学校の保護者・松下亜弥子さん(中海岸在住)が立ち上がり、11月27日開催の『モキチ・クラフトループマルシェ』で、生徒たちの作品を出品しました。これまで学校単位での地域参加はあったものの、保護者主体の取り組みは今回が初めてだといいます。
「作品の価値を見直して」
障がいのある子どもたちの感性豊かで独創的な作品が、福祉施設や学園祭でわずか数百円で売られていることに違和感があったという松下さん。
「一般の人の作品と比べて遜色ないし、色使いや作風など魅力的なものも多い。適正な価格で販売することは、将来の経済的自立にもつながる」と考えるように。
そこで、前例が無かったものの、学校側の理解を得て、松下さんが作品を買い取ることでマルシェへの出品が実現しました。自身や子どもに、芸術的才能があるわけではありません。障がい者全体の社会参加や自立を見据えての勇気ある行動でした。
ママ友たちが、バックアップ!
そんな松下さんを全力で応援しようと、幼稚園時代のママ友達で、エシカルマーケットなどを主催する「chigasaki0467」の高沢江里子さんや、金丸知奈さんなどがサポートにまわりました。
松下さんは「養護学校の生徒の作品という色メガネを捨ててもらい、純粋に『いい作品だな』と価値を感じた方はぜひ購入して欲しい。彼らのセンスや魅力をもっと引き出して、世の中に広めていければ」と意気込みます。
活動名は『kirameki_palette』に決めました。「息子のお陰で出逢えた障がいを持つ方々の煌めきに満ちた世界観。まるでパレットのように、個性豊かなカラーが混ざり合ってone&onlyが生まれています。もっともっと可能性をみんなで広げたい」。そんな想いが込められています。
障がい者も健常者も。その空間・時間を一緒に楽しむ
そして迎えた当日、松下さんは、高沢さんが出店する「meguru–low waste–shop」のブースの一角で参加。
イベント開始と同時に、茅ケ崎養護学校に通学するお友達や、卒業生の保護者、そして進学予定の親子、前日に掲載されたタウンニュースの記事の切り抜きを握りしめてきた人など、たくさんの人が松下さんのもとへ訪れました。
そこには、ヘルプマークを付けた障がいのある子どもや、車椅子の人の姿も。出店者をはじめ、マルシェ目的で訪れた人やマルシェとは関係なく食事を楽しみに来た人、カップル、高齢者、子どもたちなど、障がい者や健常者という垣根なく、すべての人がその空間や時間を楽しんでいました。
その光景を見た松下さんは「そう、そう。段差があったら、車椅子の人に一声かけてあげれば良いし、ちょっと走り回る子が居たって良い。福祉関係者や養護学校の大先輩、マルシェ好きの人、障がい児ママ友、幼稚園時代の仲間、初めましての方も含めて、これぞまさにインクルーシブな地域社会。隔たりの無い、こうした空間が当たり前になれば」と力を込めます。
数時間で完売!記事の切り抜きを握り締めて訪れる人も
生徒による陶器のお皿20枚は、開始1時間半で完売。その後、間もなく、色とりどりの箸置きやポチ袋も全て完売しました。その瞬間、会場には拍手が響き渡り、みんなでその喜びを分かち合いました。
松下さんは「養護学校の高校生たちの作品を、素晴らしいポリシーをお持ちの主催者や出店者さんと一緒に地域の皆さんへご紹介するという、素敵なデビューを飾れて、本当に感謝しかありません。これからの活動にワクワクが溢れてきています」と笑顔で語りました。
『BENIEINGO』の2人が主催
さて、この素敵なイベント「クラフトループマルシェ」は、環境問題や茅ヶ崎の問題・魅力を発信する地球過保護プロダクション『BENIRINGO』の2人と、湘南唯一の酒蔵・熊澤酒造が手がけるレストラン&ベーカリー『MOKICHI FOODS GARDEN 』がコラボして開催されました。
テーマは、「〜綺麗な自然のある茅ヶ崎を100年後も子供たちに残す〜」。
生産者・想いのある販売者の方々と消費者をつなぎ、大量生産・大量消費では無く、資源を大切にイベントで購入したものを5年後もそのあとも大事に使っていたり、購入した先とつながっていられるような関係を築く場所にー。
という想いで初めて主催しました。
出店者には、生花店や有機野菜農家、プラスチックフリーの人と環境に優しい雑貨店、草木染衣類、藍染工房、珊瑚にやさしい日焼け止め、フォトグラファーなど、歯ブラシ回収、アップサイクル製品、フェアトレード商品などを取り扱うお店や作家さんが集結。多くの人が訪れ、マルシェを通して、明るい未来へとつながる活力となっていました。今後の展開もお楽しみに!