大型の商業施設「テラスモール湘南」をはじめ駅前の開発が進み、大きなマンションも多く立ち並ぶようになった「辻堂」。住宅ローン専門金融機関「ARUHI」が主催する「本当に住みやすい街大賞2022 in 関東ランキング」では1位に輝くなど、大きな注目を集めています。
藤沢市のイメージが強い辻堂ですが、実は辻堂駅が茅ヶ崎と藤沢の境にあり、駅の西側に降りると、そこはもう茅ヶ崎なんです。今回は辻堂駅近くで茅ヶ崎ライフを送るお二人をご紹介します。
茅ヶ崎市緑が浜在住 古賀 淳子(こが・じゅんこ)さん(写真右)
東京都練馬区出身。2000年に辻堂へ移住。子育てを頑張るママがリフレッシュできる居場所を作ろうと、ベビーマッサージをはじめ多彩な講座や教室を主宰。「遊ぶように働く」がモットー。ご主人、お子さん2人との4人暮らし。茅ヶ崎市浜竹在住 山畑 夏海(やまはた・なつみ)さん(写真左)
横浜市出身。2016年に辻堂へ移住。会社員として働きながら子育てに奮闘中。産後、孤独になりがちな時期に古賀さんと出会い講座へ参加。ご主人、お子さんとの3人暮らし。
結婚をきっかけに都内から辻堂へ移住
古賀さんはご結婚をきっかけに、2000年に辻堂へ移住。当時、サーフィンの好きなご主人が辻堂近くで一人暮らしをしていて、このあたりを気に入っていたことが決め手でした。
「夫は九州、私は練馬区出身ということで互いに縁もゆかりもない地域でしたが、辻堂駅に降り立った時は、都内よりも空が広くてなんとなく匂いも違う。気持ち良いところだなと感じました」
ご結婚される前までは練馬区以外で暮らしたことがなかったという古賀さん。その影響もあり、移住当初はかなりの不便を感じていたといいます。
「都内のように地下鉄がなくて、路線も1つしかない。結婚後1年半くらいは武蔵小杉まで通勤していたんですが、まだ湘南新宿ラインが開通していなかったので、東海道線と南武線を乗り継いでいました。それと、自宅がある緑が浜は辻堂駅から距離があるのでバスを使うのですが、その路線が複雑で…。慣れるまでは本当に大変でした」
当時は知り合いが一人もおらず、正直東京に戻りたいと思ったこともあったそうですが、お子さんが産まれたことをきっかけに、徐々にまちのことが分かってきました。
「娘が産まれて以前よりもまちを出歩くようになって、気持ちもだいぶ前向きになれました。自分にとっては大きな転機だったと思います」
お子さんが幼いころによくお出かけしたスポットを伺うと「茅ケ崎里山公園や辻堂海浜公園によく行っていました。あと穴場だったのが市営の浜須賀水泳プール。コンパクトで料金もお手頃なので、幼い子どもと一緒に行きやすいです」
横浜市出身の山畑さんは2016年に辻堂へ移住。古賀さんと同じくご結婚がきっかけでした。
「家を探そうと考え始めた時、夫が川崎、私が池袋で働いていたことから東海道線沿いで物件を見ていて、たどり着いたのが浜竹でした。夫も私もこの地に縁やゆかりはなかったですが、多少の土地勘があったので戸惑いはそこまでなかったです」
移住直前は豊洲で暮らしていたという山畑さん。辻堂駅周辺の開発が比較的進んだ後に移ってきたこともあり、普段の生活で困ることはあまりないご様子。ただ、一方でこんな事情も。
「辻堂駅の南西側にはスーパーマーケットがなくて…。電車で仕事から帰ってきて、テラスモール以外にちょっと買い物できるところがあるといいなと思いますね」
個店の多さが辻堂の魅力の一つ。コロナ禍で新たなグルメの楽しみ方も発見
利便性抜群の都内から離れ、時に戸惑いを感じながらも少しずつ辻堂のまちに馴染んでいったお二人。近所のお気に入りをいくつか教えてくれました。
「私はカフェに行くことが多いですね。おすすめはパンケーキが美味しい『BRUNCHES(ブランチーズ)』や、マフィン専門店の『ME BAKE(エムイーベイク)』です。辻堂駅からは少し離れますが、GDO茅ヶ崎ゴルフリンクスのクラブハウス2階にある『TREX CHIGASAKI OCEAN CAFÉ(トレックスチガサキオーシャンカフェ)』にもよく行きます。辻堂駅の南側には個人店が多いのですが、最近はそれがこの地域の良さなんじゃないかと思えるようになってきました。なるべく利用して応援したいなと思っています」(古賀さん)
「私は『LAMA COFFEE DAYS/DELICATESSEN LAMA(ラマコーヒーデイズ/デリカテッセンラマ)』がおすすめですね。古民家を改装したカフェで、フレンチのお惣菜をテイクアウトやイートインで販売していたり、地元のアーティストや芸術家の作品を展示したスペースがあったりします」(山畑さん)
コロナ禍では、以前とは少し違った感じでまちのグルメを楽しむようになったとか。
「テイクアウトのお弁当をよく買って帰ります。テイクアウト販売をしているお店の情報が集まったチラシを手に新しいお店を開拓できるので、なかなか楽しいです」(古賀さん)
移住者だからこそわかる。「人と話をしたい」子育てママの気持ち
辻堂に移住してからお子さんが産まれ、湘南で子育てを始めた古賀さん。育児で大変だったことを伺うと「やっぱり、周りに知り合いが一人もいなかったことですね。ゼロからいろいろと調べていかないといけなくて、小児科もどこに行ったらいいんだろう?といった具合でした。私はマンション暮らしだったので、同じマンションに住む方とお話ししたり、市の子育て支援センターに行ったりして気分転換していましたね」
とにかく人と話すことに飢えていたという古賀さん。移住当時の緑が浜は、新築マンションが次々にできる新しいまち。古賀さんと同年代くらいの、ちょうど子どもが生まれたファミリー層が一斉に移ってきたそうです。
「今じゃ考えられないけれど、私が信号待ちをしていたり、海沿いを歩いたりしていると、子連れのママが近づいてきて、自作の名刺のようなものを手に『お子さん何か月ですか?お家はどのあたりですか?』と声をかけてくることがあったんです。家のポストにお手紙が入っていたこともありましたね。そのくらい、みんな必死に人とつながりを持とうとしていました。気味悪がってしまう人もいるかもしれないですが、私はその気持ちに痛いほど共感できたので、少しうれしくもありました」
「なによりママが日々幸せを感じてほしい」講座を通じてママの“居場所”を作る
現在はご自宅のある緑が浜を中心に、ベビーマッサージをはじめとしてさまざまな講座やイベントを開いている古賀さん。どんな思いのもと活動しているのでしょうか?
「子育て中は精神的に苦しくなることがあると思います。私も、子が学校に行けなくなってしまってすごく悩んだ時期がありました。その時は市の教育相談などにも通ってお世話になったのですが、苦しい気持ちをただ聞いてもらえると、だいぶ楽になる。そういった経験から、ママたちが同じ境遇の人と会って愚痴をこぼせる“居場所”を作りたかったんです」
お茶を飲みながらおしゃべりして、ママがその時間を楽しめるママのための教室にしたい。そう話す古賀さんのもとには現在、年間200人ほどの方が集います。
「とにかくママに幸せな日々を過ごしてほしいです。そして、そのために私が大事だと思っているのは、自分で自分のご機嫌を取ってあげること。『子どもが勉強出来たら私は幸せ』とか、自分以外の人にご機嫌を取ってもらおうとすると、一向に心が満たされない。自分の思い通りに行くわけではないですから。なので、自分が楽しい、幸せだと思える場所に行ったり、人とお話をしたりして、自分で自分の心を満たしていくことが大事だと思います」
働く子育てママをサポートしたい
これからもママたちの支援を続けていきたいと話す古賀さんですが、今後特にやっていきたいことが2つあるそう。1つは今まさに子育てを頑張っているママの悩みに応えること。「今は、以前の自分のように子の不登校で悩んでいた、あるいは今まさに悩んでいる皆さんが集まって、悩みや思いを共有できる場を作りたいなと思っています」
そしてもう1つは、ある程度子どもの手が離れた後にどうしていこうか?と考えるママのお手伝いです。
「以前は、会社員として勤めていた方が、子どもが産まれるタイミングで退職をした場合、いざまた仕事を始めようという時にはパートタイムの求人を探すことがほとんどでした。ただ、もっと他の選択肢として、例えば自分の趣味や好きなことを仕事にしてみるとか、そういったことがあってもいいんじゃないかなと思うんです。私が自分の人生のテーマとしているのが、『遊ぶように働く』。自分でもよく言うな…と思っていますが(笑)、何かを我慢して仕事するのではなく、自分の気持ちに素直になって、やりたいことを仕事としていきたい。講座に参加してくださる皆さんとお話ししていると、心のどこかでこうしたい、ああしたいと思ってはいるものの、なかなか自分の考えに自信を持てないでいたりする。そんなふうに悩むママたちの背中を私が押してあげたいなと思っています」
“ママのための居場所”は、子育ての大きな支えに
古賀さんと同じく、辻堂に移住してからお子さんを出産した山畑さん。地元を離れ、誰も知り合いがいない中でなんとか人とのつながりを作ろうと、片っ端からインターネットやインスタグラムで子育てママ向けのイベントや講座の情報を検索。たどり着いたのが古賀さんのベビーマッサージ講座でした。
「場所も自宅から近かったのですぐに行きたいと思って、出産から一か月も経たないうちに古賀さんにDMを送りました。そしたら『さすがにまだ早いです!』とお返事が来て(笑)。一か月検診が終わってから改めて連絡して、講座に参加しました。初参加の時はものすごく緊張したことを今でも覚えています(笑)」
講座への感想を聞いてみると「最初は子どものためにベビーマッサージに参加している感覚でしたが、そのうちリース作りやワークショップなど、自分が楽しめるイベントにも参加したいと思うようになりました。続けていくうちに、古賀さんがお話されていた“ママのための教室”という意味がよく分かってきた気がします。職場復帰が近づいた頃には、古賀さんとお話するのが楽しいから関係を続けたいと自覚していたように思います。これからも自分が悩んだ時には相談相手になってもらえるとうれしいです」
自身のご経験をもとに始めた古賀さんの活動は確実に、地域の中で子育てを頑張るママの拠り所となっているようです。
人もまちも、何ひとつ知らないところから一歩ずつ、それぞれの暮らしを築いてきたお二人。そして、ご自身が感じた思いや経験から子育てママのお手伝いをしたいと活動する古賀さん。今、辻堂が子育て世代に注目を浴びているのは、新しく開発されたまちであるのと同時に、移住した方や子育てに悩む方をサポートしてくれる空気感があるからなのかもしれません。
information
■古賀さんインスタグラム
https://instagram.com/junko_lifework
■Brunches
https://instagram.com/brunches_tsujido
■ME BAKE
https://mebake.shop/
https://instagram.com/me_bake
■TREX CHIGASAKI OCEAN CAFÉ
https://www.trex.style/chigasaki/
https://instagram.com/trexchigasaki_oceancafe
■LAMA COFFEE DAYS
https://instagram.com/lamacoffeedays
■DELICATESSEN LAMA
https://instagram.com/delicatessenlama
■茅ケ崎里山公園
http://www.kanagawa-park.or.jp/satoyama/
■辻堂海浜公園
http://www.kanagawa-park.or.jp/tujidou/
■市営浜須賀水泳プール
https://xn--udkxb9b839yy8p1gchx2gd4s.com/hamasuka.html