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茅ヶ崎に移住し、ホタテの貝殻をアップサイクルしたマルチパウダーでサスティナブルな暮らしづくり <618 scallop powderのレルムナチュレジャパン 鈴木典子さんの茅ヶ崎暮らし>

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茅ヶ崎に移住し、ホタテの貝殻をアップサイクルしたマルチパウダーでサスティナブルな暮らしづくり <618 scallop powderのレルムナチュレジャパン 鈴木典子さんの茅ヶ崎暮らし>

茅ヶ崎市南湖在住 鈴木 典子(すずき・のりこ)さん
東京都出身。2013年に都内から辻堂へ移住して4年間過ごした後、2017年に茅ヶ崎へ転居。2019年、暮らしをより豊かにするためのサスティナブルなライフスタイルを提案する「レルムナチュレジャパン」をご主人とともに設立し、共同代表として事業展開。ご主人、鈴木さん、お子さん、猫3匹の“6人”家族。

■ホタテの貝殻でつくった洗浄・除菌・消臭パウダー。きっかけはご自身のアトピー性皮膚炎

本来捨てられるはずのホタテの貝殻をアップサイクルして誕生した「618 scallop powder(ロクイチハチ スカラップパウダー)」。水に溶かすとアルカリ性が高まって、お掃除やお洗濯などの洗剤となり、洗浄だけでなく消臭・除菌にも効果があります。ブランド名の「618」は、原料の産地である青森県で6月18日が「ホタテの日」(現在は毎月18日)に制定されていることが由来だそうです。

1Lのお水に1gという少量で十分な効果が得られる「618 scallop powder」。マスクなどはもちろん、食品の洗浄にも問題なく使用できます。

開発したのは茅ヶ崎・南湖在住で「レルムナチュレジャパン」共同代表の鈴木典子さん。ご自身のアトピー性皮膚炎を機に、人や環境にやさしい製品を作ろうと考えるようになりました。
「私のアトピーには薬が全く効かなくて、根本的な治療ができなかったんです。そんな時、信頼できる皮膚科の先生から『水や空気が合わなくて発症する人もいる』とお話をもらった。そもそもアトピーはラテン語で『不思議、奇妙』という意味だそうなんですけど、これはもう上手に付き合っていくしかないなと思って、アトピーを完治させようとするよりも症状が出ないように自分の暮らし方を整えようと考え方を変えました。そして出会ったのがホタテパウダーだったんです」

ホタテパウダー自体は20年ほど前から存在しましたが、重曹やセスキ炭酸ソーダのように暮らしに根付かない理由がその安全性にありました。鈴木さんは食品添加物グレードに引き上げるなどして安全性を確保し、製品化を実現。反響も上々です。

「“ホタテフレンズ”とお呼びしている利用者の皆様からは、『本当に洗えるし、匂いも取れる』、『シンプルで心地良い』といったお声をいただきます。中には『価値観や生き方が変わりました』とおっしゃってくださる方もいます」

サスティナブルな未来を創りたい。だからこそ、楽しく「エコ」する

鈴木さんの根本にあるのが、「サスティナブルな未来を創りたい」という思い。レルムナチュレジャパンのコンセプトの1つにもなっていますが、その思いを抱くようになったきっかけは一体どんなことだったのでしょうか?

「茅ヶ崎は都内よりも水が美味しそうなのに、結局みんなミネラルウォーターを買ったり、ウォーターサーバーを契約したりする。あとは、茅ヶ崎には海があるのに、よりきれいな海を目指して旅行に出かける。そんなライフスタイルが当たり前になっていることに違和感があったので、水を汲むように水道からきれいな水を飲めるとか、『綺麗で美しい茅ヶ崎の海においで!』と胸を張って言える海になったら良いなと思ったんです」

鈴木さんが伝えたいのは、「エコ」は決して義務ではなく楽しむものであるということ。「近年、ようやくサスティナブルやエシカルといった言葉が一般に通じるようになってきましたが、環境のために『やるべき・やらないといけない』というニュアンスで発信されていることが多いと感じます。でも、これだと楽しくないと思うんです」

「『エコ』や『地球にやさしい』というのは、あくまで自分がどんな生き方をしたいか、どんなライフスタイルを送りたいかという選択肢の1つ。他人の生き方を否定するのではなく、自分自身が暮らしを楽しみ、満足感を得るためにエコやエシカルなライフスタイルを選ぶ。その結果として自分が快適とか心地良いとか、そういうシンプルな感情を持てることがとても大事だと思います」

講座を通じて、自分が快適と思うライフスタイル探しをお手伝い

鈴木さんの事業は製品の開発・販売に留まりません。心を豊かにする為の学びの場の提供も行っています。

「自身がどんなライフスタイルで暮らしたいのかを考える場を作ろうと、『618LSC』という講座をこれまでに5回ほど開催しています(LSCは「ライフスタイルコンサルタント」の略)。用意された衣食住のテーマごとに話をしていくうちに、自分にとって何が心地良いと思うのか、何を食べたいと思うのかという“自分軸”が見えてきます」

例えば、オーガニックの野菜がいいから牛の堆肥を使って育てたものを選ぶといっても、「牛が食べているものがオーガニックじゃなかったらどうする?」鈴木さんがそんな質問を参加者に投げかけると、「今まで信じていたことは一体…?」と混乱する方もいるそうです。ただ、あえてそういう状態にするのが狙いだと鈴木さんはいいます。

「私は、環境問題の本質は人間の問題だと思っています。だからこそ、一人ひとりが自分の生活を見直してみることが大事。自分が楽しみながらできることがあるかと考える契機になると嬉しいです」

楽しみながらライフスタイルを考えるワークショップ

自然豊かな子育て環境を求めて湘南に移住

2013年に辻堂へ移住し、その後2017年に茅ヶ崎へ来た鈴木さん。

都内からの移住のきっかけを聞いてみると、「子どもが産まれて、自然豊かな場所での子育てと仕事が両立できる場所に住みたいと思ったんです。あまり東京から離れると仕事がしづらいので、自分のライフスタイルを考えたときに湘南はちょうどいいところだなと思いました。家を建てる時は辻堂、茅ヶ崎、大磯の海沿いで物件を探していましたが、ちょうど良い条件だったのが茅ヶ崎の南湖でした。駅や観光スポットから少し離れた静かな場所で、着飾らずに過ごせそうな雰囲気が良かったんですよね」

ちなみに、今住んでいる南湖の土地は過去にご主人の3代前のおじい様が所有していましたが、一度人手に渡った後、鈴木さん一家が買い戻すことになったとのこと。「引っ越し後に初めてこの事実を知りました。この時代、おじい様は白い馬に乗り、南湖のまちを闊歩していたそうです。主人も私も市外出身で、それまで茅ヶ崎には縁もゆかりも無いと思っていましたが、なんだか不思議な引力で引き寄せられたような気がして思わず鳥肌が立ちました」

まちに抱いていたイメージからギャップを感じたことも。「ここに来る前、茅ヶ崎にはサザンオールスターズが好きで、ちょっと派手な人がいっぱいいると思い込んでいました。実際は、サザン好きの方は結構いたけれど派手な人はそんなにいなかった(笑)。引っ越してすぐにサザンビーチに出かけた時は『あんなにファミリーがいるんだ』と驚いたことを覚えています」

海沿いの暮らしを求めて茅ヶ崎に来た鈴木さんですが、住み始めてから他の魅力にも気づいたといいます。「山側の地域を知って、茅ヶ崎にはこんなに良いところがあったんだと。お気に入りは『茅ケ崎里山公園』。都内では考えられない公園の規模にびっくりしましたし、しっかりと管理されて自然の状態を保っているのが本当に素敵だなと思います」

好奇心旺盛で、我がまちのことが大好きな茅ヶ崎の人々

次に、茅ヶ崎の人の雰囲気について伺うと「勝手なイメージですけど、つばの広い帽子が似合う人、オーガニックが好きな人、ハワイが好きな人、昔から住むおじいちゃん・おばあちゃんたちの4カテゴリに大きく分けられる気がします(笑)。ハワイ好きという点では容姿やファッションから感じる場面がよくありますし、フラダンスを習っている方も多い気がします。海が好きな人、自然とともに暮らすことが好きな人も多い印象ですが、一番感じることはみんなこの場所が好きだということ。茅ヶ崎愛を感じますね」

お仕事の場面でも、他地域と茅ヶ崎の人との差を感じたエピソードがあるといいます。
「618 scallop powderのイベントを開いた際、都内や千葉で実施した時は怪しいものを売りつけられるのではないかと近寄ってもらえなかったのですが、茅ヶ崎ではお客さんのほうから寄ってきて、『これ何?』と興味を持ってすごく話を聞いてくださる。しかも、『貝殻からできていて、水を汚さないし自然にやさしいんですよ』と説明すると、おもしろがって買ってくれる方が結構いらっしゃる。好奇心の強さと環境に対する意識の高さをすごく感じました」

塩づくりに野菜づくり。大忙しな茅ヶ崎での休日

暮らしに必要なものを自分で作るのが好きだという鈴木さん。この間のお休みには茅ヶ崎の海から塩を作ったそう。「西浜の海に主人が服を着たまま腰くらいまで海に入って(笑)、採ってきた海水を何度か煮詰めて濾過して。3リットルの海水から50グラムくらいできました。食べてみるとトゲがなくて意外と美味しかったです」

お手製の“茅ヶ崎塩”

また、鈴木さんならではのやり方でこんなことにも取り組んでいます。「畑を2区画お借りして、オーガニック野菜を育てています。ここでも618 scallop powderを土作りや虫除けに使用しています。これは実際に青森の一部の農家さんも行っていることですが、土に混ぜるのは土壌のpH調整のため。一般的には石灰を使用しますが、ホタテパウダーで行います。パウダーを水に溶かしてスプレーするとうどん粉病などの予防にもなります。カルシウムも豊富で、パウダーを使用しない畑に比べ、野菜がすごい勢いで育つんです。一方で雑草もよく育つのでひたすら抜かないといけなくて、草刈りがすごい忙しいんですけどね(笑)。」

現在、北海道のトマト農家とタッグを組んで“ホタテトマト”を作るプロジェクトも進行中とのこと。ホタテパウダーはあらゆる場面で活躍しています。

誰でも気軽にオーガニック食材を買える。エコな雰囲気が流れる茅ヶ崎

普段のお買い物事情を伺うと、「サザン通りにある『魚春』さんや、畑からの帰りに『肉の旭屋』さんには時々行ってお魚やお肉を買っています。『肉の旭屋』さんは吉祥寺の『ミートショップサトウ』で修業された方が提供しているメンチカツが有名です。あと、コロッケも美味しいですね」

意外なことに、一番のお気に入りは量販店である「イオン茅ヶ崎中央店」。その理由を鈴木さんが教えてくれました。

「オーガニック野菜が豊富で、品切れにならない。平飼い卵も種類が多いし、お肉もホルモン剤不使用のものが置いてある。週1ペースで通っています。1度、イオンに「野菜のビニールが生分解するものだともっと良いです」と手紙を書いたことがあるんです。そうしたら翌日すぐに『今後もっとこういうことをしていきます』と提案付きでお返事してくれて。そこでイオンの大ファンになっちゃいました(笑)」

続けて、「オーガニックや減農薬の品物を、価格が高くて買えないと思わせないところがすごいと思います。大きなスーパーなので子ども連れでも一緒に行きやすく、家族で楽しく買い物できるのもいいですね。大手の企業さんが先頭に立ってこういう取り組みをしてくれると、まちにエコを受け入れる雰囲気が生まれるのですごくありがたいです」

「海があって綺麗で素敵」なだけではない、新たな茅ヶ崎暮らしの姿を表現・発信したい

サスティナブルやエシカルを軸に事業を興し、自らもそういったスタイルで茅ヶ崎暮らしを楽しむ鈴木さん。今後は「土地の恩恵を活かして、暮らしの中で作れるものを自分で作ったり生み出したりする文化をつくりたい」といいます。

「以前ニュージーランドに滞在した時、ステイ先のお母さんが石鹸や化粧品を自分で作っていたんです。『よし、やるか!』と特別に意気込むわけでもなく、それこそお味噌汁を作るくらいに自然に作っちゃう姿がかっこよくて素敵でした。自然が好きで、その自然を大事にするための生活を無理なく実践している。茅ヶ崎がそんなまちになるきっかけ作りをしたいと思います」

続けて「例えば土を作るところから畑で作業したり、海水から塩を作ってみたりと、茅ヶ崎でできることはたくさんある。大人と子どもが一緒にそういう体験をできる機会を作りたいと思います。茅ヶ崎の海に来たらみんな服を着たまま腰まで海に浸かって、海水を採って塩を作ってる光景、ちょっとおもしろくないですか?オシャレなイメージだけじゃない、新しい茅ヶ崎の姿を発信できたらいいですね」

information

■レルムナチュレジャパン合同会社 https://www.rerumnature.com/

■618 scallop powder https://www.618scalloppowder.com/

■茅ケ崎里山公園 http://www.kanagawa-park.or.jp/satoyama/

■魚春 https://www.uoharu-sakana.jp/

■肉の旭屋 https://tabelog.com/kanagawa/A1404/A140406/14047719/

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住所

神奈川県茅ヶ崎市

公開日:2022-08-04

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