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【取材レポ】ふるさとファーマーズ・石井雅俊さんが円蔵小学校3年生に授業 “学校行こうDAYS”で子どもたちと一緒にこれからの農業を考える

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【取材レポ】ふるさとファーマーズ・石井雅俊さんが円蔵小学校3年生に授業 “学校行こうDAYS”で子どもたちと一緒にこれからの農業を考える

茅ヶ崎市内の学校では保護者や地域の方に学校への理解をより深めていただくため、“学校行こうDAYS”を実施しています。円蔵小学校の3年生のクラスでは、ふるさとファーマーズの石井雅俊さんを迎えて、農業について理解を深める授業が行われました。

ふるさとファーマーズの石井さんってどんな人?

ふるさとファーマーズの石井さんが小学3年生に授業

“学校行こうDAYS”期間中の2024年11月23日(土)、円蔵小学校3年生の教室にはふるさとファーマーズの石井雅俊さんが立っていました。

茅ヶ崎北部の県立茅ケ崎里山公園近くで農業を営みながら、市内外の学校で子どもたちに農業の理解を深める授業も行っている石井さん。「大人と子どもと一緒に同じテーマについて考える機会を作りたい」と担任の先生から直々に依頼を受け、今回の授業が実現したそうです。

授業の最初に石井さんは「日本の農業では畑を耕すことが一般的ですが、僕の畑は耕さない畑なんです。そんな畑でどうやって野菜を育てるのか、不思議に思いませんか」と子どもたちに切り出しました。

動画で畑を紹介

石井さんが実践する不耕起栽培の畑の様子を動画で紹介

“耕さない畑”と聞いてもピンとこない様子の子どもたちに、石井さんは動画を使って自分の畑の様子を紹介しました。

「実は農業にはやり方がいくつかあります。日本の農業で最も行われているのが、畑を耕し、化学肥料や農薬を利用する慣行栽培です。これは大量の野菜を大きく作るのが目的で、皆さんが普段目にしている農業です。他にも、化学肥料や農薬などをできるだけ使わない有機栽培や僕が実践している、畑を耕さず肥料も使わない不耕起栽培などが行われています」

不耕起栽培は畑を掘り返さず農薬も使わないため、地球に優しく、温暖化にも効果があると言われていますが、自分のやり方を押し付けるのではなく、「どの方法が優れているかではなく、それぞれの農業の特徴を知ってもらい、一緒にやっていくことが大切です」と話しました。

野菜の種当てクイズで大盛り上がり

次に、石井さんは子どもたちに3つの小さな袋を配り、「この袋に入っている種が何の野菜か当ててみましょう」と野菜の種当てクイズを開始しました。

野菜の種当てクイズ

目を凝らさなければよく見えない小さな種に子どもたちの視線が集中

「みんなが絶対に見たことのある野菜だよ」と言うと、教室のあちこちから「きゅうりだよ」「違う、カボチャだよ」「キャベツかもしれない」「人参だよ」「ピーマンじゃない?」「ナス!」など次々と野菜の名前が飛び出します。

必ずしも正解が出るわけではないので「この野菜の食べ方は…」「色は…」「見た目は…」と何度も種を覗き込む子どもたちの様子を伺いながらヒントを出し、正解に導いていきました。

クイズ大会は大盛り上がり

子どもたちから色々な野菜の名前が飛び出したクイズ大会

大人なら簡単に正解できそうと思う方がいるかもしれませんが、実はかなりの難問ぞろい。農業経験が少しある記者でも、「見覚えがある種だな…」という印象だったので、見慣れない種から野菜をイメージするのは難しかったのではないでしょうか。

そんな中、子どもたちがほぼ全員正解できた種がありました。「この種は知っている」と口を揃えたのが、ミニトマトの種。聞けば、実際に栽培経験があったそう。

もちろん、石井さんもその点はよく理解しており、「分からない問題だけでは飽きてしまうので、子どもたちに馴染みのある種も混ぜています」と優しさが伝わってきました。

正解者には特製シール

クイズに正解した子どもたちには特製シールをプレゼント

子どもたちと一緒に農業の課題と将来について考える

野菜の種当てクイズで盛り上がった後、石井さんは日本の農業が抱える課題について話し始めました。

日本では食料をたくさん輸入していること、農業を営んでいる方は高齢者がとても多く若い世代がいないことを図や写真を見せながら、現在直面している状況を子どもたちにも分かりやすく説明。

特に子どもたちが強い衝撃を受けたのが、茅ケ崎里山公園付近の現状を示した写真でした。

里山公園付近の写真

茅ケ崎里山公園付近の写真を見せる石井さん

バスタブや建築材料などが散乱する荒れた光景の写真を見た子どもたちは「これは本当に茅ヶ崎なの」と聞き返すほど。インパクトのある光景に保護者もショックを受けた様子でした。

石井さんは「農家がいなくなると田んぼや畑は荒れ、ひどい場合にはごみが捨てられる場所になってしまいます。こうした光景が広がらないためにも、農業を守っていくことが大切です」と言い、子どもたちにも「何かできることはありませんか」と問い掛けました。

子どもたちからは「もっと日本産の野菜を買ったらいい」「農家さんのお手伝いに行けばいい」など前向きな意見が出されていました。

農業の未来を支える力を信じて

授業の最後に石井さんは「農業はたくさんの人を幸せにできる仕事です。農業が楽しい・野菜が美味しいという思いがたくさんの人に広がれば、きっと世界は変わっていくと思っています」

日本の農業は高齢化が進み、担い手不足が深刻になっています。さらに、大雨や猛暑は毎年のように過去最高を記録、肥料は急激に高騰するなど厳しい状況が続いています。

農業を将来の仕事として考えている子どもたちは今は少ないかもしれませんが、石井さんの言葉に何度も頷いていた子どもたちと保護者。授業を受けた翌日、早速子どもたちが石井さんの畑を訪れたそうです。

将来の日本の農業を支える力は、こうした授業を通して生まれてくるのではないでしょうか。

授業まとめ

農業の将来を一緒に考えましょうと呼び掛ける石井さん

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ふるさとファーマーズ(Instagram)

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住所

神奈川県茅ヶ崎市円蔵1丁目13−1

公開日:2024-12-23

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