魚が捌けるようになりたい!
外国人観光客の多くが日本食を楽しみに訪日していると言われています。中でも、寿司や刺身は日本食を代表するメニューであり、日本食といえば魚を思い浮かべる方も多いはずです。
相模湾に面した茅ヶ崎では、地元で水揚げされた旬の魚が日々の食卓に並び、海の恵みを身近に感じることができます。
ただ、最近では魚を捌ける人が減っており、自分で捌ける人は3割程度という調査結果も出ているそう。
スーパーではすでに切り身になった魚が並び、内臓処理もお店でお願いできる時代。確かに、魚を捌けるスキルがなくても困らなくなりました。
でも、だからこそ、「魚を丸ごと1匹、ちゃんと捌いて、食べてみたい!」と思いませんか。
そんな想いを叶えてくれる講座が、茅ヶ崎のうみかぜテラスで開催されたので、取材してきました。
うみかぜテラスってどんな場所?
鮮魚のプロ・魚卓さんから学べる人気講座
この日開かれた講座は、雄三通りにある人気鮮魚店・魚卓(うおたく)の浅見さんが講師をつとめる『お魚さばき教室』。2024年に続き、今年も抽選になるほどの人気講座です。
今回は運よく当選した妻と小学5年生の息子が参加しましたが、親子以外にもご夫婦での参加など幅広い年代が参加しており、年代を問わず、“魚を捌く”ことに高い関心があるのだと感じました。

浅見さん(写真左)は数多くのメディアから取材を受ける鮮魚のプロ
捌くのは、旬の鯵。丁寧に教わりながらチャレンジ
今回の題材は「鯵のたたき」。鯵は比較的手頃で捌きやすく、魚を捌く練習にぴったりの魚だそうです。

今が旬の鯵を使って三枚おろしを学びます
浅見さんからまず、包丁の扱い方がレクチャーされました。
「包丁で切るとき、力は必要ありません。刃先から根元までを引くように使ってください」
これは包丁の基本ですが、どうしても余計な力が入ってしまう方が多いのだそう。
鯵のたたきの工程は次の通りです。
1.魚を洗う
2.ウロコを取る
3.頭を取る
4.ハラワタを取る
5.血合を洗う
6.三枚におろす
7.中骨を取る
8.皮をむく
9.タタキにする
10.お皿に盛りつける
工程ごとに解説を挟みながらも、一つひとつの動作に無駄がない浅見さん。あっという間に見事な鯵のたたきが完成しました。
- 浅見さんの華麗な手捌き
- お手本の鯵のたたき
魚捌き上達のコツは“とにかく数をこなす”こと
浅見さんのお手本を見た後は、いよいよ魚捌きのスタート。
普段包丁を握らない息子でも、ウロコ取りや内臓処理までは順調に進みましたが、難関は三枚おろし以降の工程。
三枚おろしでは、背骨に沿って包丁を入れる作業に集中力が必要です。

三枚おろしに初挑戦
意外にも、息子がここで才能を発揮!

初挑戦にしては上々の出来ではないでしょうか
浅見さんから「きれいにできてるよ」と声をかけてもらうと、嬉しそうな表情を浮かべていました。
ただ、やはりそう簡単に終わらないのが魚捌き。
三枚おろしや皮を剥ぐ作業は、大人でも四苦八苦する難しさ。参加者は浅見さんから何度も丁寧なアドバイスを受けながら、作業を進めていきました。
今回は1人につき2尾の鯵が用意されていましたが、「数をこなすほど上達するからどんどん練習してみよう」と浅見さん。
予備の鯵もたっぷり用意されていたので、参加者は時間の許す限り何度も練習することができました。
- 難しい作業はアドバイスを受けながら
- うまくなるには、練習あるのみ
初めての「鯵のたたき」が完成!
そしていよいよ完成した、自分で捌いた鯵のたたき。
脂ののった旬の鯵はとろけるような味わいでした。上手く捌けていたようで、骨もほとんど気にならず、見事な出来ばえとなりました。
息子も初挑戦ながら、ちゃんと一皿分仕上げられて大満足の様子。

ケガもなく、無事に鯵のたたきが完成
命と向き合い、茅ヶ崎の食の豊かさを味わう
帰宅した息子は、捌き方の手順を一つひとつノートに書き出して、「楽しかった!」と兄弟に誇らしげに講座の様子を伝えていました。
魚を捌くという体験は、手間や手ざわり、匂いも含めてすべてが“リアル”でした。
だからこそ、食べ物がどこから来て、どうやって命をいただいているのかを、身をもって感じられたのではないでしょうか。
せっかく茅ヶ崎という海のそばに暮らしているのだから、新鮮な魚にふれて、その命を自分の手で料理し、味わうという体験がもっと茅ヶ崎の日常であってほしいと思います。
魚卓のように地元で愛される鮮魚店で「今日は何が美味しいですか?」と会話を交わし、その日のおすすめを持ち帰って、自分の手で捌いて食卓に並べる。
そんな、ささやかだけど贅沢な暮らしが、ここ茅ヶ崎にはきっと似合うはずです。

参加者と浅見さんで記念撮影
おまけ:記者も挑戦
「ぜひ挑戦してみてください」と促され、記者も挑戦してみました。

記者も挑戦!
記者も年に1〜2回、生魚を捌く機会はあるのですが、いつも身がボロボロになってしまう程度のレベルです。それでも今回は、浅見さんに教わったポイントを思い出しながら、なんとか“それっぽく”仕上げることができました。