うみかぜテラスで本格的な蕎麦打ち体験
日本を代表する料理の“蕎麦”。夏の暑い日にはキンキンに冷えた蕎麦を、大晦日は年越し蕎麦を、旅行先ではご当地の蕎麦を…。
皆さんも季節・場所を問わずに蕎麦を食べる機会は多いかと思いますが、一度は自分で手打ちした蕎麦を食べてみたいと思っているのではないでしょか。
そんな夢を叶えてくれる、茅ヶ崎公園体験学習センター うみかぜテラスの人気講座『本格蕎麦打ち体験』に子どもと参加をした様子をレポートします。
蕎麦打ち体験スタート
今回の講座で作る蕎麦は“二八蕎麦”。蕎麦粉8割に対し、繋ぎの小麦粉2割で作られる蕎麦で、手打ちしやすいため蕎麦打ちの基本の型とされているようです。
「好みもありますが、蕎麦粉100%の十割蕎麦よりも喉越しが良く、食べるのにもおすすめの蕎麦です」と講師で『江戸ソバリエ』の鈴木信夫さん。
今回の講座では材料がすべて計量されているところからスタートしています。
- 【分量(3人分)】
粉400グラム(蕎麦粉320g、小麦粉80g)、水168g
水回し
蕎麦粉に水を含ませる工程です。
まずは蕎麦粉をふるいにかけて固まりをほぐし、きめ細やかにしていきます。
次に蕎麦粉に水を投入するのですが、“水は複数回に分けて投入する”、“指を立てて混ぜ合わせる”ことがポイントとなっています。この工程で蕎麦粉にしっかりと水を含ませていないと切れてしまったり、上手くまとまらなかったりするそうです。
今回の水分量42%は鈴木さんこだわりの割合。「乾燥しやすい冬場など気温や湿度で水分量を微調整すると良いです」
初心者には後の工程の、延し・切りの方が難しいと感じましたが、“本鉢三年、延し三か月、包丁三日”という言葉もあるそうで、蕎麦打ちにとって、とても重要な工程となっています。
こね
水を加えた蕎麦粉を混ぜ合わせ、塊にして練りこんでいく工程です。
こねは蕎麦のコシが決まる工程で、腕の力だけでなく、上半身を上手く使って力を加えることがポイントになっているようです。
小学4年生の子どもには少し難しい作業だったので、妻がお手伝い。しっかりこねていくと、蕎麦の色が変わり、蕎麦粉がつるんと滑らかになっていくのが分かります。
延し
蕎麦粉が塊になり、表面が滑らかになったら麺棒で伸ばしていく工程が延しです。蕎麦打ちの象徴的なシーンとしてこの工程を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
コツは“中心から外側に向かって均一に伸ばしていく”こと。
全体の厚さが均一になるよう注意し、蕎麦生地の縦横を入れ替えながらどんどん蕎麦生地を広げていきます。蕎麦生地が大きな四角になるように伸ばしていくのですが、これが大人でも難しい!
講師にお手伝いいただきながら、蕎麦生地が破れてしまわないよう丁寧に作業を進めていきました。出来上がりを他の参加者の方のものと比べてみると、少し小さめ(厚め)だったかもしれません。
たたみ
均一に延ばした蕎麦を麺切包丁で切りやすいようにたたむ工程です。他の工程に比べ、難しいと感じるような作業ではありませんが、破いてしまわないよう慎重に作業。生地がくっつかないように、追加でしっかり蕎麦粉をふるのをも忘れずに。
切り
延しと同様、蕎麦打ちの象徴的な工程で、切りが終わるといよいよ蕎麦の完成となります。
使う包丁は専用の麺切包丁。子どもはもちろん、大人でも初めて見る・使う方が多いのではないでしょうか。
切りのコツは“まっすぐに刃を落とす”、“均等にこま板をずらす”こと。
まずは、麺を押さえているこま板に刃を添わせて、まっすぐに切っていきます。蕎麦の幅は約1㎜程度が良いとされているそうですが、なかなか理想どおりの厚さに切ることができません。自分が思っているよりも細く切るイメージを持つと良いのかもしれません。
蕎麦が切れたら、そのまま刃を少し傾けて、こま板をずらしていきます。このずらす間隔を一定にできると麺の太さも均一に揃えることができます。
「慌てないでゆっくりで良いよ」と声を掛けられながら、息子も蕎麦切りに挑戦。
肩に力が入っているのが分かるほど緊張したようですが、意外と順調に作業をこなしていきます。最後まで無事にやり遂げて出来上がった蕎麦は太さにバラつきはありますが、見た目は立派な蕎麦!
ちなみに鈴木さんはトントントン…と軽快なリズムで、あっという間に均一な太さの蕎麦を作り上げ、参加者からは驚きの声があがっていました。さすが江戸ソバリエ!
自分で打った手打ちそばの味は
いよいよ茹であげです。
茹で時間は生蕎麦なので1分くらいで十分とのことですが、麺が少し太めなので、茹であがりの様子を見ながらの作業です。鍋から蕎麦の香りが立ち上り、味の期待も高まります。
ここでのポイントは“たっぷりのお湯で茹でる”、“しっかりと冷水で麺を締める”こと。
茹であがりを確認したら、流水で洗って蕎麦のぬめりを落とし、氷水で麺をしっかりと締めます。
完成した蕎麦は茹であがる前よりも不揃いさが目立ち、市販品よりも少し短い気がしますが、これこそ手打ちの醍醐味ではないでしょうか。
肝心の味ですが、思っていたよりも「美味しい!」。
手打ち蕎麦だとボサボサする、麺がぷつぷつと切れてしまうとは聞いていたのですが、そういったこともなく、香りがしっかり残った美味しい蕎麦となっていました。
うみかぜテラスでは興味を満たしてくれる様々な講座を開催中
道具が揃っていない自宅で手打ち蕎麦は難しいのですかと鈴木さんに伺うと、「自宅にあるもので十分できますよ」。
「こね鉢の代わりは大きなボウルや大きなフライパンを代用し、麺棒はホームセンターなどで売っている木工用の棒を使う方もいます。刃わたりが長くて反りがない専用の麺切包丁が望ましいですが、普通の包丁でも問題ありません」
一見、道具が揃っていないと難しそうな蕎麦打ちですが、これなら家庭でも十分に挑戦できそうですね。
記者にとっての“蕎麦打ち”のように、皆さんも“ちょっと体験してみたい”ことはたくさんあるに違いありません。そんな好奇心を満たしてくれる講座がうみかぜテラスではたくさん行われています。
夏休みには子どもと一緒に参加できる昆虫観察の講座なども開催されるようなので、自分好み・家族好みの講座にぜひ一度、参加してみてはいかがでしょうか。