このレポートは、タウンニュース茅ヶ崎版2012年11月23日号で掲載された記事を加筆・修正したものです。
「まずは、ろうそくに火をつけましょう」
お話会のはじまり。両手の人差し指を2本のろうそくに見立てて、灯りをともします。参加する子どもたちの中には、身を乗り出して絵本の世界に入る子どもの姿も。お母さんが子どもをあやす様に、一言ひとこと語りかけながら絵本を読みます。
茅ヶ崎市南湖在住の絵本作家・荒川薫さん(75)は、「湘南・絵本とおはなしの会」の会員として、ほかの会員とともに毎月一度、南湖公民館で「絵本とお話しの時間」を開催しています。
イベントでは、絵本の読み聞かせや手遊び、わらべうた、紙芝居などを披露。「楽しいことって人にも伝えたくなるでしょ」と、優しい笑顔で語ります。
福音館書店に入社し、絵本づくりに
絵本に携わって52年。きっかけとなったのは、大学卒業後、福音館書店に入社したこと。入社間もなく、絵本づくりにも携わるように。ちょうど福音館書店が絵本製作に乗り出した時期だったといいます。
「どんな絵本が子どもたちに必要なのか学びながら編集をして。絵本の魅力に惹きつけられていきました」と振り返ります。
妊娠を機に退職。子育て中に息子に読み聞かせることで、読者として絵本を見つめ、さらに絵本の魅力に気付きました。子育て中に福音館書店から声が掛かり『ころころだるまさん』でデビュー。現在も、年に一作は短い童話や絵本などの作品を執筆しています。
子どものための作品を
「執筆する時は子どものことを一番に考えています」と荒川さん。「お母さん」だから書ける作品も多いそう。
2009年に発行した絵本『すずめ ちゅん』は、子育て中「ちゅん ちゅん」と子どもをあやしていたことを思い出しながら書いた作品。絵は、画家として活躍する二男・荒川暢(みつる)さんが手掛けた親子の合作です。
「私にとって、絵本は喜びの源です。自分で読んでうれしく、人に読んで喜ばれ、それがまた自分の喜びとなり、創作の喜びにつながります」。喜びの種を育む母として、絵本の素晴らしさを伝え続けます。