若者の感性で新しい魅力発信を
神奈川県にある人口1万人ほどの小さな町、松田町。人口減少時代にあって、今あるコミュニティを将来にわたり維持し続けていくためには移住・定住人口の増加と人口流出の防止がカギです。暮らしに関わる各種支援を拡大したり、新たな制度を創出したりと、町も必死に取り組んでいます。しかし、その良さを広く知ってもらわないことには何も変わりません。そこで今回、町は認知アップに向けて動画制作ワークショップを企画しました。
天候は晴れ、絶好の撮影日和
冷たい雨に凍えた第1回とはうってかわって、公園の良さが引き立つ絶好の撮影日和。事前に固めていたコンテに沿って快調に進んでいきます。前回講師に教わった6W1H、フレームレート、背景に映るもの、被写体の動き、撮影開始・終了前後などへの意識が参加者同士の会話からも伝わってきます。各チームの撮影風景を覗いてみましょう。
ただいま撮影中……
幅約19センチのレールに沿って
残念ながら撮影日は運休中でしたが、園内には本格的な「山岳鉄道」が走っています。鉄橋や踏切、トンネルに交じってスイッチバックもあって全長は約1・1㎞。使われているシェイ式の蒸気機関車はかなり貴重なものだと知り、撮影陣も大興奮。流れるような映像が収められていきます―。
望遠鏡をのぞくように
園内各所の絶景スポット撮影していたこのチーム。最後にやってきたのは、足柄平野を見下ろすことができる展望台。何やら設置された望遠鏡をのぞくようにカメラを向けています。撮影してはチェックの繰り返し。どんな映像ができるのでしょうか。
坂を駆ける少女―。
このチームは公園内に伸びている通路を駆ける少女が被写体のようです。カメラに向かってくるバージョンとカメラから遠ざかっていくバージョンの2種類。走るのは大変ですが、腕を振り、地面を蹴り、進む、進む―。躍動感が伝わってきます。その意味なんて、見守るお地蔵さんには、知る由もありません。
素材が集まったら、編集だ
1時間半ほどの撮影を終えた各チームは編集作業へと突入。動画の始め方、つなぎ方、終わり方に、それぞれの意見が飛び交います。今回はスマートフォンを使った動画編集に挑戦中。操作も慣れたもので、一つひとつの効果を確認しながら最適なモノ、イメージに合うモノをチョイスしていきます。やはり、カタチになっていく過程がうれしいのでしょうか。ゴールに向かい、笑顔があふれます。
今回のワークショップに参加したのは、町内唯一の高校である立花学園高等学校の生徒と東海大学教養学部人間環境学科岩本ゼミの学生たち。30秒ほどの動画の中に、どうやって町の魅力を詰め込むのか、期待されているような若者らしい目線を盛り込むのか、検討に検討を重ねてきました。
便利な編集アプリもたくさんあり、日常的に動画撮影に慣れ親しんでいる世代。撮影自体は難しいことではありませんでしたが「広く町をPRする」という目的が設定されたとき、自分らしさと向き合うことに。コンテンツにあふれた時代、簡単に人の心を動かせるほど甘くはありません。「ならでは」のオリジナリティが求められます。
迷った挙句にたどり着いたのは、自分の目線を大切にするということでした。それは、映像を通してだれかと会話するような感覚。「ここに来れば、こんな景色やモノがあるよ」「こんないいところを伝えたいんだ」そんな思いが聞こえてきそうです。
映像を創っているアングルは、参加者一人一人が見ていた目線でもあります。それは、ただ歩いているだけでは見えないもの。だからこそ、面白いんです。テクニックもあっと驚くしかけも、高精細な映像美もないかもしれません。でも、この町が好きな若者たちのメッセージが込められています。
松田町プロモーション動画制作ワークショップ
西平畑公園に若者を集めよ!PR動画を作る2DAYS
いよいよ作品が完成しました。これから最終チェックに入ります。2月中には発表会を開き、町公式SNS等で公開していきます。どんな動画になっているかは、もうしばらくお待ちください!