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<おイシイ農園 石井政輝さんの茅ヶ崎暮らし>茅ヶ崎野菜を広めたい。ミニトマト農家の大きな挑戦

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<おイシイ農園 石井政輝さんの茅ヶ崎暮らし>茅ヶ崎野菜を広めたい。ミニトマト農家の大きな挑戦

茅ヶ崎市萩園在住 石井 政輝(いしい・まさき)さん
茅ヶ崎市生まれ。代々農業を営む家庭で育ち、現在は16代目として神奈川県内で唯一のミニトマト専門農家「おイシイ農園」を経営している。その傍ら、茅ヶ崎市商工会議所青年部に所属し、これからの茅ヶ崎のまちづくりに関わる取り組みにも積極的に参加。趣味は世界中の「トマトグッズ」をコレクションすること。それから茅ヶ崎のおいしいものハンティングにも目がない。

「海辺の朝市」は農業人生の原点。「僕にとって一番いい環境が茅ヶ崎」

毎週土曜日、茅ヶ崎公園では「海辺の朝市」が開催されている。市内約15軒のこだわり農家が軽トラックの荷台いっぱいに野菜を持ち込み、対面販売する人気のイベントだ。生産者から直接旬の採れたて野菜を買えることもあって、毎週行列ができるほど賑わっている。この海辺の朝市こそ、石井さんの農業人生の原点だ。

石井さんがはじめて出店をしたのは2009年頃。当時、平日は会社員として働きつつ、土曜日は海辺の朝市で両親が作ったミニトマトの販売を手伝っていた。消費者と直接会話をしながら販売ができる時間を、毎回心から楽しみにしていた反面、「どうしてこんなにおいしくできるの?」という質問には答えられず、歯がゆい思いも味わっていた。

「お客さんとの会話で、ミニトマトづくりの技術面の話をしたかったんです。でも、当時の自分は親が作っているものを売っていただけなので、当然それを言えません。何とか生産の裏側をお話したいという思いから逃げられず、ミニトマト農家を継ぐ決意をしました」

ミニトマト農家を継いだ今も、海辺の朝市は石井さんのミニトマトづくりへの”ご意見番“として欠かせない場所だ。

「茅ヶ崎ってとにかく人がいいんです。おいしいものはおいしい、悪いものは悪いと正直に言ってくれます。取引のあるレストランの方たちも『こんな味のトマトはできないかな?』とリクエストしてくれます。だから私は勉強をして、いろいろ試作を重ねて、おいしいミニトマトづくりを追求できています。きっと僕にとって一番いい環境が茅ヶ崎なんです」

消費者から品質に対する意見が直接聞けるシーンは、そう多くない。生産者と消費者の距離が近い茅ヶ崎だからこそ、ミニトマトづくりのモチベーションもぐんぐんと高まっていく。

ギター販売員の経験を生かし、楽しいアイデアでミニトマトをブランディング

農園を継ぐ前の石井さんの仕事はギターの販売員だった。農業高校を卒業した後、ギタークラフトの専門学校へ行き楽器店に就職。ギターの修理・販売で社会人としての経験を積んでいった。

ちょうど世の中に「地産地消」という言葉が浸透しだしたころ、農家が値段を決められて自由に販売できる「直販」のスタイルが注目されるようになっていった。そこで石井さんは、これまで販売員として培ってきた経験から、ミニトマトのブランディングや販売に新たな可能性を感じるようになっていったという。

現在、石井さんが手掛けるトマトは1年間通して8色、20種類。見た目はカラフル、味もそれぞれ甘味と酸味のバランスに個性があり、販売方法にもこだわりがある。

「ミニトマトの販売方法はアイデア次第です。例えば色を使って、ワクワク楽しい気持ちにさせることもできますよね。ミニトマトは定番の赤が一番人気ですけど、クリスマスには、赤・緑・白、ハロウィンにはオレンジと紫…など組み合わせると食卓も盛り上がります。お客さんからの反響も上々ですよ」

このようなユニークなアイデアと確かなクオリティで支持を受け、茅ヶ崎のオリジナルブランド「チョイス!茅ヶ崎」にも認定された。ハート型のパッケージに真っ赤なミニトマトが詰まった商品を見れば、日常使いとしても、ギフトとしても心躍る楽しさを感じられること間違いない。

若い仲間とつながって、もっと茅ヶ崎を盛り上げる

現在10名のメンバーからなる農協青壮年部は、根っからの茅ヶ崎っ子と、鎌倉に住む農業者の団体だ。「茅ヶ崎市内に良い生産物を届けていこう!」という熱い熱意のもとに若手農家が集まっている。

仲間たちは、農業以外にも視野を広げて、地域貢献プロジェクトに積極的に参加している。例えば災害対策。「建物の倒壊の危険が少ない畑を避難エリアとして開放してはどうか?」、「農作業に使う井戸水を非常時の生活用水として供給することができないか?」様々なアイデアが出てくる。

石井さんがはじめて市民活動を始めたのは19歳のころ。ビーチクリーンに参加したことから、さまざまな活動に参加するようになった。

エアコンの設定温度を下げて環境負荷を減らすため、アロハシャツ文化を根付かせようと活動をしている「茅ヶ崎アロハ委員会」にも参加。茅ヶ崎はクールビスを「アロハビズ」と掲げ、市役所や金融機関をはじめ、今では多くの企業でアロハシャツが夏のビジネススタイルとして溶け込んでいる。

現在は神奈川県商工会議所青年部連合会でも活動するなど、多方面で活躍している石井さん。その原動力を聞くと、「地元・茅ヶ崎を良くしていこうと同じ目的に向かって刺激をし合える仲間がいることです」と話す。根っからの茅ヶ崎好き、そして人好きな人柄がにじみ出た言葉だった。

これからのキーワードは「茅ヶ崎野菜」

最近では、20代・30代の若手農業者を中心に「茅ヶ崎野菜」のブランドを確立しようと奮闘中だ。2020年には茅ヶ崎産の大きな白ナスがバラエティ番組に取り上げられるなど、徐々に注目度が高くなってきている。

茅ヶ崎の力強い太陽の光を浴びて育てられた石井さんのトマトは、石井農園の前のトマトの自動販売機で購入できる。そのほか、海辺の朝市、JAさがみ「わいわい市寒川店」や茅ヶ崎市内の青果店などでも手に入りやすい。

アメリカンテイストなロゴを目じるしに探してみてはいかが? 

取材の最後に、これからの夢を尋ねると、こう答えてくれた。

「茅ヶ崎って海を連想する人が多いんですけど、これからは『茅ヶ崎野菜がおいしい!』というイメージを広げていきたいです。もっともっと茅ヶ崎野菜の魅力を届けていきたいです」。

これからも地元・茅ヶ崎とつながって美味しいミニトマト作りを追求していくと笑顔の石井さん。一歩先を歩く、頼り甲斐がある大きな背中が印象的だ。

Information
・おイシイ農園 Facebook:
https://ja-jp.facebook.com/0141farm
・海辺の朝市:
https://www.city.chigasaki.kanagawa.jp/nousui_nogyo/1006519/1022398/index.html
・Choice! Chigasaki:
https://www.chigasaki-brand.jp/

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公開日:2021-04-01

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